経済産業省は7月4日、内閣官房IT室、総務省、文部科学省と連携し、ネットを活用した震災復興運動「ネットアクション2011」のウェブサイトを開設した。復興や節電のためのアプリ開発を呼びかけるほか、開発に使用するための公共データをネット上に公開する。すでに展開している復興支援サイト「復興アクション」、節電ポータルサイト「節電アクション」とも連携する。
この運動は民間が主体となって進めていくことがコンセプトになっている。政府は環境作りに重点を置き、政策課題の呼びかけや、各公共機関と連携した“利用しやすい形”でのデータ提供を推進する。データの公開方法についても開発者から意見を募集する。
ネットアクション2011では、電力供給データや被災者のニーズを集約したデータベースなど、政府や民間の公共データを基にしたアプリ開発を呼びかける。被災地ニーズと支援者のマッチングシステムや風評被害を防止するサイト、電力配給状況を携帯電話からでも確認できるアプリなどの開発を想定しているという。
公共データを開放し、民間にサービスを開発してもらう取組みは、欧米などで積極的に実施されている。日本では東京電力が3月24日に電力供給状況のAPIを公開したところ、2日間で50を超えるアプリが開発された事例がある。しかし、この取組みには反省点もあったと経済産業省 商務情報政策局 情報政策課 情報プロジェクト室 室長補佐の守谷学氏は話す。
「東京電力のデータを基にさまざまなアプリを開発いただいたが、それらが発散したまま集約されずに終わってしまい、しっかりと使われるというところまで持っていくことができなかった」(守谷氏)
公共データを基に開発されたアプリやコンテンツは、この運動に賛同した情報通信関連のパートナー企業(アクションパートナー)のサイト上で公開される。アクションパートナーになるには、コンテンツ開発のためのAPIやデータ提供、開発のためのクラウド環境の提供、開発者のコミュニティやコンテンツ投稿の場の提供、アプリコンテストの開催などの条件を1つ以上満たす必要がある。
また、ネットアクション2011では政府以外の団体が保有するデータも提供する。守谷氏は「現時点では、むしろ政府より民間のデータのほうが多い。現地のボランティアの情報や国民がマッシュアップして作り上げた震災に関するデータベースなどを紹介している」と話し、今後も最低限の精査を行った上で、政府以外のデータを積極的に取り上げていきたいとした。
ネットアクション2011は2012年3月31日まで実施する予定。その後の展開については、ネット上でのアンケートなどによって検討していきたいとしている。
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