Googleのソーシャル化に注目

アウンコンサルティング2011年05月27日 11時32分

 米Googleは3月30日、Googleの検索結果ページで「+1(プラスワン)」ボタンの表示を開始した。現段階では、米国内のみのリリースとなっているため、このサービスが日本でも実施されるか不明だが、ソーシャル化を進めようとするGoogleの動きには注目すべきだ。

 +1について簡単に説明すると、いわゆるFacebookの「いいね!」ボタンのように、閲覧者がウェブサイトやAdWords広告を評価できる仕組みだ。具体的には、検索結果ページとAdWords広告のテキストリンク(ページタイトル)の後ろにボタンが表示される。また、ウェブサイト内にもボタンを設置できる。

 ただし、+1ボタンを使用するためには、Googleアカウントにログインした状態で検索しなければならない。まだ米国内で試験的に実施されているため、すべての環境で使用できるわけではない。

 Googleはこれまで「Google Buzz」や「Orkut」といったソーシャル系のサービスを発表してきたが、どちらも世界的に普及したとはいえない。それにもかかわらず、Googleがソーシャル化を進めるのはなぜだろうか。

 理由の1つとして、ウェブにおける消費行動の変化があると考えられる。電通が提唱した消費行動のプロセス「AISAS」が有名だが、消費行動における検索とは、ニーズの顕在化したユーザーが行う、能動的な行為である。目的意識が明確になっているため、検索ユーザーが欲している情報や、サービスが見つかった場合、最終的なアクション(購買など)につながりやすい。

 しかし、ソーシャルネットワーク(個人と個人のつながりを中心として形成されているインターネット上のネットワーク)におけるユーザーの消費プロセス、特に興味喚起に大きな影響を与えるのは、友人や知人の発信する情報、いわゆる口コミである。

 目的意識が明確になっている検索とは異なり、ソーシャルネットワークにおける口コミに対してユーザーは受動的だ。例えばソーシャルネットワーク上で、知人がおいしいイタリアンレストランを紹介したとする。その瞬間、ユーザーに興味、関心が沸き、いつか行ってみようというニーズが顕在化する。このように、信頼のおける人からの口コミ情報は、有益な情報になる。

 同様に、検索がソーシャル化することで、検索ユーザーに対して自身の目的意識とは別の要因から需要を喚起し、また信頼性の高い情報を提供できる可能性がある。まだGoogleのソーシャル化は始まったばかりであるが、今後の動向に注意していきたい。

アウンコンサルティング

1998年6月設立。1999年、日本国内でいち早くSEOを事業化。検索エンジンマーケティング(SEM)の認知向上と市場の拡大に尽力し、上場企業を中心に多くの企業のマーケティング戦略を支援する。PCおよびモバイルのSEM支援で蓄積したナレッジを背景に、多言語でのSEMサービスへと展開。SEMを自社運用する企業向けのサービスも開始。日系企業の海外マーケティング支援も行うなど活動の幅を広げている。2005年11月東証マザーズ上場。絶えず変化する検索エンジンマーケティング動向を読み解き、SEOおよびSEMに関する動向を解説。著書「Search Engine Optimization 非常識なSEOの常識」

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