約2年半に渡り開催されてきたニコニコ動画のユーザー向けイベント「ニコニコ大会議」が、5月22日の「ニコニコ大会議 in 台湾」をもって終了した。今後は幕張メッセを使用した大規模フェス「ニコニコ超会議」を開催する予定だという。大会議の開催地となった台湾でニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏が、ニコニコ動画の海外展開や新施設「ニコファーレ」について語った。
--台湾でニコニコ大会議を開催した理由は?
台湾版のニコニコ動画を2007年から提供していたのと、台湾の人たちがニコ動に対して親和性をもって接してくれていたこともあって、海外へ飛び出すための第一歩として台湾を選びました。
--現地のチケットが発売から1分で完売することは想定していた?
もちろん想定していませんでした。そこまで大きな会場ではないので、それなりにいけるだろうと期待はしていましたが、1分というのは社内でも驚きがありました。
--開始当初から台湾版のサービスは盛り上がっていた?
台湾版をベースにユーザーが広かったというよりも、ニコニコ動画自体にユーザーが集まっているという感覚ですね。彼らは日本語を理解していることもあり、恐らく日本のオリジナルページにアクセスして、普通にアーティストのコンテンツを楽しんでると思います。
また、アーティストがどんどん力をつけてきたのがここ2年前後なので、同じタイミングで台湾でのユーザーは増えていますね。当初はコンテンツ交流がメインでしたが、最近はレイヤが変わってきて、日本のアーティストにファンがついたり、自分たちでも配信してみようという人が増えてきているスキームに入っていると思います。
--ビジネスの視点から見て台湾はどうか?
ビジネスというより、まずはサービスベースで拡大していく可能性があるなと考えています。その下地となっているのが、台湾の人たちはアニメやタレントなど日本のコンテンツに対して非常に親和性があるということです。
台湾で最も濃いユーザーをキャッチアップして、その人たちと一緒に、またはその人たちが担い手となって色んな人にサービスを広めてくれる。これがアジア全体にサービスを広められる足がかりになるのではと考えています。
--海外でニコニコ動画を展開するために必要な要素は?
趣味趣向として日本文化にかなり没頭する人たちが、コミュニティとして成立しているような国が、ニコニコ動画が広まる条件には適していると思います。台湾には元々そういう土壌がありますよね。またフランスも割と近しいのかなという気はしているんですが、まだ欧州の人たちが会場の前に並んでいるイメージが掴みきれていません。受け入れられるタイミングだと判断すれば、一気にやっていくとは思います。
--ニコニコ大会議は今回で終了となるが、2年半を振り返った感想は?
当初はサービスの発表会からスタートしましたが、最終的には「ユーザーによるユーザーのためのイベント」がメインになってきています。ニコニコ動画が求めてきた形になってきているかという意味では、かなり理想のところまできていると思います。
--ニコファーレについて、自社でライブステージを持つ理由は?
僕らが目指した形を再現することが非常に重要だと思っています。大会議のようなライブイベントはいろいろと開催できてはいるんですが、ライブハウスやイベントホールはある意味メッカとして作りきれません。どうしても定期的になってしまったり会場によって制限が出てしまうので、常に同じ形は再現できない。それなら自分たちで作ってしまおうということです。
その際にも、通常のモニターの上をコメントが流れていくのではなく、より3次元的にというか、体感的に感じられるような雰囲気を作るために、LEDを全面に貼ってみたりということをしています。ただ、これもまだ実験的なところがあるので、僕らが思い描いた通りになるかどうかは実際にやってみないと分からないと思います。
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