人間性は、終わりが見えてきた企業プロジェクトに劇的な影響を与えるようだ。たいていの場合、メンバー達は最後の追い込みに向けて気合いを入れ、家族や友人との交流も控え、プロジェクトを成功させるために全力を尽くす。そして汗とストレスと長い夜の日々がようやく終わると、プロジェクトチームは解散して散り散りになり、次の活動に向けて走り始める。劇的な成功や鮮烈な失敗はこの効果を増大させるもので、前者の場合、メンバーはその成果を活用して次の実のある仕事をもらおうと走り出し、後者の場合はその失敗からできるだけ距離を取ろうとする。
プロジェクトが終わった後に、「次の大仕事」に向けて大急ぎで動き出すのは良くない考え方だ。よほど成功したプロジェクトでなければ、時間の制約のために棚上げになっていたよいアイデアなど、やり残した仕事があるはずだ。それに加え、世に出てから数週間から数カ月経った後、そのプロジェクトの成果を利用している人が、改善のための何か素晴らしい(そして多くの場合簡単に実現できる)アイデアを思いつくかもしれない。また、そのプロジェクトのコミュニティーは、最新の話題や手間を省く方法を見直すことで、新しいシステムの展開や関連するプロセスをずっと効率よく実現することができるかもしれない。どちらの場合も、すでにそのプロジェクトに対して投入された膨大な時間と資金からさらに利益を得ることができ、一種の多重効果が起きることになる。つまり、少しの努力で大きな効果を得ることができ、成果を加速し、増幅させられるということだ。チームメンバーが成果を祝ってすぐに散り散りになってしまう前に、次のことを検討した方がよい。
いろいろなミーティングで、関係者に対してすました顔で「今後のプロジェクト」で実現すると約束した、さまざまな要素のことを思い出してほしい。通常、一部の要素を後回しにする場合は、それだけの理由があるが、IT組織はそれらの「将来」実現するはずだった要件をないがしろにすることで大きく信頼を失う。しかし、そうした項目は、システムのある大きな要素が実現されてしまえば、素早く実装できる優れたアイデアであることも多く、効率の向上や説得力のある便利な機能といった形で、大きな投資対効果を提供してくれるのに加え、IT組織は約束を守るというイメージを与える。
もしほかに何もなければ、少なくともそれらの要件をすべて集約し、それぞれの要件に対してどれだけの時間がかかるか、分かる範囲で想定してみるといい。仮に、その想定が「実現不可能」だとしてもだ。コミュニティーに対して、彼らの要件は認知され、検討されたと知らせるだけでも信頼は得られるし、もし短期間で仕上げることのできるいくつかの「需要の高い」ものだけでも実現できれば、それに越したことはない。
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