10周年を迎えたアップル直営店--大成功を収める小売戦略とは - (page 3)

Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 編集部2011年05月20日 16時35分

 Appleの直営店が初めてオープンしたとき、Genius Barの来店客にミネラルウォーターのボトルが実際に提供されたが、この取り組みは数カ月後に中断された。Johnson氏は2004年にデザイン関連のカンファレンスで基調講演を行い、飲み水を提供するこの取り組みは費用がかかりすぎたと述べた。Johnson氏はまた、同社は温かい飲み物を提供することも検討していたが、認可と従業員の教育が必要になるため興味を失ったと述べた。

 年月を経て、Genius Barはコンピュータとコンピュータの周辺機器のみだけでなく、「iPod」や「iPhone」「iPad」などすべてのApple製品をサポートするにまで発展した。Appleはまた、PCの乗り換えを検討している人やプロ向けソフトウェア製品のユーザー、Apple製ソフトウェアとハードウェアを使う小規模企業向けのトレーニングやサポートプログラムなど、直営店で提供するサポートサービスも拡大している。これらの取り組みは、電話や電子メールでサポートサービスを受けられる「AppleCare」と密接に関係している。

 Appleの象徴的なニューヨークの「キューブ型」店舗において、同社はGenius Barを分離して、iPod向けの「iPod Bar」と制作分野向けの「The Studio」という別々のサポート窓口を設置した。The Studioには写真やそのほかの制作分野の専門家が常駐している。

直営店の影響力

 直営店を持つ利点を活かすことのできるケースの1つに、新製品を発売する時がある。Appleは頻繁にハードウェア製品を刷新し、いくつかの製品発売では、他製品よりも一般の注目を集めている。

 新型ノートPCやiPodでもある程度の行列を作ることはできるものの、iPhoneやiPadの持つ影響力とは比べものにならない。iPhoneやiPadの新型が発売されるときには、Appleの直営店が注目の場所となり、購入者が発売日やその週末に新製品を手にする姿がよく写真に収められる。もちろん、顧客はそのほかの小売店にも並ぶが、この数年間ではApple直営店に並ぶ行列が一番長くなる傾向があり、その長さは数ブロックに及ぶこともある。

2010年4月に初代iPadが発売されたときの様子。多くのApple直営店の従業員がさらに多くの購入者や報道関係者、見物人を迎えている。 2010年4月に初代iPadが発売されたときの様子。多くのApple直営店の従業員がさらに多くの購入者や報道関係者、見物人を迎えている。
James Martin/CNET)

 Appleが直営店にどれだけの在庫を確保しているのかを明らかにしないのは有名である。しかし、これは「iPhone 3G」の発売時に一時的に変わり、同社は、顧客が特定のモデルの在庫を来店前に確認できるオンラインの在庫確認ツールを提供した。Appleは、初代iPadと「iPhone 4」の発売時には若干異なる方法を試みた。端末の在庫があれば予約し、そして、来店して購入するという方法を顧客に提供した。しかし、2011年になって発売された「iPad 2」ではこの手法は採用されなかった。

 また、新店舗がオープンする時にも行列ができ、最初の来店客になることを狙った徹夜組がいるほどである。Appleは、こうした顧客に対してちょっとしたプレゼントを贈る習慣があり、たいていは前面に店舗名をあしらったTシャツが渡される。数年前までは、こうした行列に並ぶのは熱心なMacユーザーだけだったが、Appleの消費者向け電化製品に対する訴求力が拡大していくにつれて、これも変わってきている。

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