Evernoteは4月20日、都内で発表会を開催した。パーソナルクラウドサービス「Evernote」のAndroid向けアプリケーションの最新版となる「Evernote for Android」バージョン3を発表したほか、国内企業とのパートナーシップについて紹介した。
発表会で、EvernoteのCEOであるPhil Libin氏は、東日本大震災の被災者に対して見舞いのコメントをした上で、「我々が何ができるかを考えた」とコメント。すべての無料ユーザーを対象に、本来有料であるプレミアムユーザー向け機能を1カ月間無料で提供したことを説明した。「この時期起きたことを整理して、可視化し整理すること。それを復興に役立てるだけでなく、将来に伝えていきたい」(Libin氏)。さらに、同月の国内プレミアムユーザーからの売上12万ドル弱をカリフォルニア日本文化コミュニティセンター経由で被災地に寄付したと語った。
震災のような困難はあるが、Libin氏は現在同社を取り巻く環境について、「ビジネスをする上でユニークな時期。コンシューマーソフトウェアカンパニーとしては最高の時代」だと語る。Libin氏は5年前の環境と比較し、(1)販売方法やロジスティクスを意識せずにソフトを販売できる「AppStore」、(2)起業のためにサーバやインフラを整える必要性をなくした「クラウドサービス」、(3)サービスの基礎部分を無料で入手できる「オープンソースインフラストラクチャー」、(4)すばらしい製品であればそれを伝えてくれる「ソーシャルメディア」、(5)ベンチャーと大手での価格競争の心配を解消した「フリーミアム」--この5つの要素があるために、企業が製品作りに集中できると語る。Libin氏はこの5つの要素について「Geek Meritocracy」と表現する。「このGeek Meritocracyがなければ、FacebookもDropboxも成功しなかったと思う」(Libin氏)
Libin氏によると現在Evernoteのユーザーは全世界で870万人。毎日新規ユーザーは2万人増加しているという。またそのうち91%はブログやTwitterでEvernoteを知り、直接Evernoteのアプリをダウンロードしている。残り9%のうち8.4%はデバイスにバンドルされたものを利用し、広告やプロモーション経由で集まるのはわずか0.6%だという。
また、米国についてアクティブな利用をするのが日本のユーザーだという。現在日本のユーザーは150万人。これは全ユーザーの17%に当たる。しかしアクティブユーザー数の割合で言えば、全体の38%をしめる1位の米国に次ぐ28%という割合になるのだという。
こういった背景もあり、Evernoteでは日本のマーケットを非常に重視している。同社では急増するトラフィックに対応するため、本社データセンターとのネットワークプロバイダにNTTコミュニケーションズの「グローバルIPネットワークサービス」を採用したことを明らかにした。
Libin氏はまた、クラウドサービスが、消費財のように「時間がたつにつれ、商品の価値が下がる」というものや、メディアビジネスのように「時間がたっても商品の価値が変わらない」といったものとことなり、データを蓄積することで価値が最大化する、つまり「時間がたつにつれ、商品の価値が上がる」商品であると語る。事実、同社のプレミアムユーザーの割合を見ると、利用1カ月では1%程度だが、12カ月では8%、サービス開始間もなく利用した36カ月のユーザーでは23%に上るのだそうだ。
ここでLibin氏はAndroid用アプリを紹介した。共有ノートブックの閲覧、編集機能をはじめ、FacebookやTwitterとの連係機能などが追加されたと説明した。Windows版も先週アップデートしているが、今後はMacやiPhone、iPad版についてもアップデートしていく予定だ。
Evernoteのパートナー企業は、現在世界で4000社。そのうち33%が日本のパートナーだという。Libin氏は、国内で直近に展開された製品を紹介した。詳細は以下の通り。
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