SEOを実施している企業のウェブ担当者にとって、「検索結果からのクリックをどのようにして多く獲得するか」というのは大きな悩みのひとつであろう。
この悩みを解決する方法としては、検索順位を改善し、ユーザーの目につきやすい上位に表示されることが最善の施策であると考えられる。しかし、単に検索順位を改善しただけでは、ユーザーの注目を集め、かつ、自社サイトへとユーザーを呼び込むことは困難であると考える。
なぜなら、検索結果画面に表示されているすべてのサイトの中から、「自社サイトだけに注目を集め、クリックさせること」が必要であるからだ。では、ユーザーの興味を引くためには、どのような施策を実施するべきなのか。
本コラムでは、2010年8月にサンフランシスコで開催された「Search Engine Strategies 2010」でのShari Thurow氏のアイトラッキングについての調査報告の講演を参考にして、考察をしていきたい。
まず、アイトラッキングとは、人間の目(眼球)の動きや注視点を測定し、実際にユーザーが画面上のどこを見ているのか、あるいは見ていないのかなど、ユーザーの視線の動きを分析する手法のことである。
Thurow氏の報告では、視線が集まった時のユーザーの意図、思考、感情までは、アイトラッキングでは読み取れないとした上で、検索結果画面におけるユーザーの視線の動きには以下の特徴があると述べている。
上記の調査結果を踏まえると、検索結果画面において、ユーザーからのクリックを獲得する可能性をより高めるためには、以下の考えにもとづいて、タイトルと説明文を改善していく必要があると考える。
特に説明文において、自社の優位性やサイトの特徴をより明確に記述することにより、クリックを誘発できる可能性が高くなる。また、検索されたキーワードは、太字で表示され、ユーザーの視線を集められる可能性があるため、検索されたキーワードを説明文の冒頭に持ってくる工夫や競合サイトよりも回数を多く記述する工夫も必要である。
たとえば、対策キーワードに加えて、社名とブランド名を並列して記述する、対策キーワードをひとつに集約し、対策キーワードをより目立たせるなどの工夫が必要である。
前述したように、アイトラッキングでは、視線が集まった時のユーザーの意図、思考、感情までは読み取ることはできないが、「検索結果の中から自社サイトへとユーザーの注目を集め、クリックさせること」は、SEOで検索順位を改善すること以上に重要な施策であると考える。
なぜなら、直近のGoogleやYahooの動きからも推測されるように、検索結果自体が、ユーザーが情報をより取得しやすい構成へと変化してきているからである。
例えば、Yahoo!ニュースやYahoo!百科事典の表示、Googleインスタントプレビューなどのように、ユーザーは検索結果の各サイトをクリックしなくても様々な情報を得られるようになってきているのである。
以上のことを踏まえると、検索結果において、自社サイトがどのような競合状況で表示され、どのような情報とともに表示をされているのかを考慮する必要がある。その上で、それらの競合サイトや情報に対して、自社サイトのタイトルと説明文をユーザーの興味、関心を引くように、「差別化」「区別化」していくことが重要であると考える。
1998年6月設立。1999年、日本国内でいち早くSEOを事業化。検索エンジンマーケティング(SEM)の認知向上と市場の拡大に尽力し、上場企業を中心に多くの企業のマーケティング戦略を支援する。PCおよびモバイルのSEM支援で蓄積したナレッジを背景に、多言語でのSEMサービスへと展開。SEMを自社運用する企業向けのサービスも開始。日系企業の海外マーケティング支援も行うなど活動の幅を広げている。2005年11月東証マザーズ上場。絶えず変化する検索エンジンマーケティング動向を読み解き、SEOおよびSEMに関する動向を解説。著書「Search Engine Optimization 非常識なSEOの常識」
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