「クアルコムは2011年を首を長くして待ってきた」--クアルコムジャパン代表取締役会長兼社長の山田純氏は3月1日、同社の戦略説明会でこう切り出した。2011年トータルでのスマートフォンの出荷台数がパソコンの出荷台数を抜くと、Gartnerが予測していることを受けての発言だ。
「日常をリッチにする最も重要なデバイスであるパソコンをモバイル端末が凌駕できるのかということは創業以来の大きなテーマだった。いよいよその時期が近づきつつあり、現実のものになる」(山田氏)
また山田氏は、スマートフォンはクラウドにつながってこそ端末の真の価値を提供することができ、そのためには無線通信技術が重要になると説明。CDMA2000 1X、EV-DO、WCDMA、HSPA、LTEなど、過去のどの無線通信技術においても、クアルコムはリーダーシップを取ってきたと強調した。
戦略説明会では、クアルコムのスマートフォン向けチップセット「Snapdragon」についても言及された。Snapdragonとは以下の5つの特長を持った製品の総称だ。
クアルコムでは数年前からAndroidに注力しており、「全世界で出荷されているAndroid端末の7割近くにSnapdragonが搭載されている」という。しかし山田氏は、クアルコムはAndroidのみに焦点を当てたわけではないと語り、今後もWindows PhoneやBlackBerry、Brew MPなどすべてのOSに対応すると説明する。その理由として、モバイルの市場はまだ発展途上であり予断を許さない状況であることを挙げた。
説明会では、スペインのバルセロナで開催された2011 Mobile World Congressで発表された新CPUコア「Krait(クレイト)」を搭載したSnapdragon製品も紹介された。LTEのマスマーケットスマートフォン向けのシングルコア「MSM8930」と、高性能スマートフォンやタブレット端末向けのデュアルコア「MSM8960」、各コア最大2.5GHzのクロックスピードを実現するクアッドコア「APQ8064」の3製品だ。
クアルコムによれば、MSM8930とMSM8960は、3GとLTEモデムを搭載した世界初の製品だという。サンプル出荷時期は、MSM8960が2011年第2四半期、MSM8930とAPQ8064が2012年初頭を予定している。
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