会社から提供される福利厚生は拡充の一途をたどってきたが、今後は切り詰められ、徹底的にカットされていくだろう。医療・歯科保険や年金制度、確定拠出年金(401k)向けのマッチングファンドがいい例だ。会社が基本給のほかに必要な福利厚生を提供してくれると期待しないほうがいいだろう。
社会保障給付を満額取得して定年退職する年齢は、長い間大きく変わっていないが、受給者に支給する資金が不足するため、実際に退職年齢が引き上げられる可能性がある。フランスでは、年金支給年齢を60歳から62歳に引き上げる法案が可決され、これに反対する抗議活動が起こった。
しかし結局のところ、われわれは1960年よりも寿命が長くなっているのは事実だ。米国人の寿命は1960年には69.7歳だったが2003年には77.5歳になった。そのため、定年が遅くなるとしても全く非現実的な話というわけではない。現在の経済不振も助けにならないだろう。ベビーブーム世代の多くが、当初予定していたよりも定年が遅くなるという現実に直面している。
Enronの元従業員に聞いてみれば、「信頼できる」企業が突然崩壊し、それとともに従業員の年金基金も無くなってしまったという悲惨な話を聞くことができるだろう。企業倒産は、年金基金の存続に対する不安要素の1つに過ぎず、厳しい経済状況によっても年金基金が資金不足になる可能性がある。こうした理由から、ベビーブーム世代の多くが受給資格を得た時に年金基金を満額受け取ることができるかどうか疑問である。
筆者は、社会保障は財政的に恵まれず知識のない一般大衆を保護するために設けられた制度だと教わった。一般人が、定年に備えて貯蓄するということを当てにできないというわけだ。この規定が正しいかどうかは別にして、皮肉なのは、長年にわたって徴収されたこの社会保障税が、われわれが選出した頭の良い議員らによって浪費されているという点だ。もし残っているとしても、われわれが定年を迎えることにはどれくらい残っているのか不明瞭だ。しかし、流れは危機的な状況に向かっており、歳出は2016年まで歳入を上回らないと予想されていたが、2010年にも逆転してしまいそうな状況となっている。1950年には、労働者16人で1人の受給者を負担をすればよかったが、2030年までに2人で1人の受給者を負担することになると予想されている。
確かに社会保障からいくらかは受け取ることができるだろうが、62歳になるまで頼ることができない上、社会保障局から毎年受け取る社会保障に関する書類に印刷された推定支払額と同額が支給されると思わないほうがいい。
米国政府の定年制度だけが問題になっているわけではなく、オーストラリアやカナダを除き、多くの国々が人口高齢化やそのほかの課題によって年金制度の資金難に直面している。
ここでは多くのネガティブな課題を見てきたが、最後は励ましの言葉で締めたいと思う。大事なのは、最後まで頑張り抜くことだ。不況が永遠に続くことはないし、聡明に、身軽に、そして熱心に働くことで、今日の変化し続ける職場環境と厳しい経済環境の中で生き残り、成功することだってできる。
「面白い時代を生きますように」というこの中国の言葉がおそらく最も良く言い表しているだろう。筆者の職歴は予想していたものではなかったが、決して退屈なものではなかった。あなたのキャリア計画は新しい経済情勢に沿ったものとなっているだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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