ブロケード、新スイッチ提供--SANとLANを統合、仮想マシン管理性向上

田中好伸(編集部)2010年11月29日 12時17分

 ブロケード コミュニケーションズ システムズは11月26日、レイヤ2イーサネットワークスイッチ「Brocade VDX 6720」を発表した。11月15日から日本国内での販売を開始している。同社のパートナー企業から提供される。価格はパートナー企業によるが、米国での価格は1万700ドルとなっている。

 高度に仮想化され、クラウドに最適化されたデータセンター向けに開発されたというVDX 6720は10ギガビットイーサネット(GbE)に対応する。高さ1Uでポート数24、高さ2Uのポート数60という2モデルがある。16ポートから60ポートまで、使ったポート数によるポートオンデマンド型のライセンス体系を取ることで、要求に応じて柔軟に拡張できるとしている。

 VDX 6720は、LANとSANというサーバのI/Oを統合するための標準技術である「データセンターブリッジング(Data Center Bridging:DCB)」を活用する。IPに加えてiSCSIやCIFS、NFS、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)といったプロトコルに対応して、あらゆる種類のデータやストレージのトラフィックを稼働させられるとしている。

 ブロケードは6月に「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」と呼ばれる技術を発表。今回のVDX 6720は、VCSを提供する最初の製品になるという。同社の小宮崇博氏(テータセンターテクノロジー部部長)は、VCSのメリットを「データセンターのスループットを最大化し、仮想化されたサーバのスケーラビリティを向上させ、仮想マシン(VM)に対する管理性が向上する」と説明。「ネットワークの複雑性が軽減されるとともに、ロスレスでストレージに対応している」とも付け加える。

 VCSは、Ethernet Fabric(イーサネットファブリック)、Distributed Intelligence(分散インテリジェンス)、Logical Chassis(論理筐体)などで構成される。

 Ethernet Fabricは、LAN内でループ構成を回避するためのプロトコルであり、スループットを制限していると言われる「Spanning Tree Protocol(STP)」を排除して、従来の階層型ネットワーク構成でのアクセスレイヤとアグリゲーションレイヤを取り除いて、仮想化環境に最適なフラットでマルチパスに対応したネットワークを構築できるという。

 DCBのほかに、STPに代わってイーサネットで経路を冗長化する技術である、現在策定が進んでいる標準仕様の「Transparent Interconnection of Lots of Links(TRILL)」も活用している。フルアクティブのマルチパスや短時間でのリンク再収束、SANトラフィックとLANトラフィックの統合といった機能を提供するとしている。

図 左が従来の階層型イーサネットアーキテクチャ、右がEthernet Fabricアーキテクチャ

 Distributed IntelligenceによってEthernet Fabricは自己完結型になるという。VCS対応のスイッチ2台を接続する場合に、ファブリックが自動的に作成され、スイッチが共通のファブリック構成を探し当てる。ファブリックの帯域幅を拡張する際には、スイッチ間にリンクを追加するほか、必要に応じてスイッチを追加するだけでいいという。接続されたすべてのスイッチが設定と機器の情報を持つマスタレス構成であることから、手作業でファブリックを再構成する必要がなく、ファブリックスイッチの増設や撤去、物理サーバや仮想サーバの移動が可能としている。

 Ethernet Fabricの中にあるすべてのスイッチは、1台の論理的な筐体のように動作して1台のスイッチとして管理できる(これをLogical Chassisという)。従来の“Top of Rack”型スイッチ1台ごとにそれぞれ管理するのではなく、ファブリック内の各物理スイッチを1台の筐体の中のポートモジュールとして管理できる。手作業で設定せずにファブリックを拡張できるという。

 「ハイパーバイザに依存しない」(小宮氏)VCSでは、「Automatic Migration of Port Profiles(AMPP)」と呼ばれる技術を活用することで、VMがある物理サーバから別の物理サーバに移動する際に、VMに関する属性情報がVMと一緒に移行することで、自動的に移行できるようになるとしている。これまでのレイヤ2の制限による限定的だったVM移行の幅が広がることになると小宮氏はメリットを強調する。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]