IDC Japanは11月8日、2010年第2四半期(4〜6月)の実績、および最新の景気動向などに基づく国内製品別IT市場予測を発表した。
これによると2010年の国内IT市場は12兆3373億円、前年比成長率0.6%となり、2009年の前年比成長率マイナス11.2%から大幅に改善するとしている。IDCでは、国内IT市場を構成する3つの市場として「ハードウェア市場」「ITサービス市場」「ソフトウェア市場」を定義している。ハードウェア市場はマイナス基調にあるものの、IFRS対応やクラウド構築、ビジネスアナリティクス(BA)およびビジネスインテリジェンス(BI)のニーズなどを背景にITサービス市場、パッケージソフトウェア市場がプラス基調にある。国内IT市場全体の2009〜2014年における年間平均成長率は0.5%のプラス成長を予測しているという。また、2014年の国内IT市場規模は12兆5619億円になるとIDCではみている。
2010年のハードウェア市場は5兆1606億円、前年比成長率2.1%で、2009年のマイナス17.6%から大幅に改善すると予測する。主要因は、PCが7%を超えるプラス成長であるためとしている。ただし、ハードウェア市場はローエンド製品への需要シフト、市場の成熟化などのために2011年以降はマイナス成長となり、2009〜2014年の年間平均成長率はマイナス1.7%、2014年の市場規模は4兆6345億円と予測している。
2010年のパッケージソフトウェア市場は、前年比成長率1.3%、2兆2225億円と予測。こちらも、2009年のマイナス10.7%から大幅な改善となる。景気安定化に伴い中堅中小企業などでこれまで延伸されていたサーバやPCの更改が立ち上がり、幅広いパッケージソフトウェア製品の需要が戻ってきているという。今後、クラウド構築のニーズや、企業情報活用のためのBA/BIのニーズを背景に市場が堅調に拡大するという。2009〜2014年の年間平均成長率はプラス2.3%、2014年の市場規模は2兆4615億円と予測している。
2010年のITサービス市場は4兆9541億円、前年比成長率はマイナス1.3%と予測している。2009年の前年比成長率マイナス3.9%と比べるとかなりの改善が見られるがマイナスを脱するには至っていない。今後、景気安定化に伴いIFRS関連の案件や、プライベートクラウド構築などITインフラ最適化案件が活発化してくるとIDCではみており、2009〜2014年の年間平均成長率はプラス1.7%、2014年の市場規模は5兆4658億円と予測している。
このようにIDCでは、国内IT市場全体として緩やかなプラス成長を予測しているが、外需減速や地政学的リスクなどの外的要因から二番底に陥るリスクもあるとしている。IDC Japan、ITスペンディング/ITサービス/ソフトウェア&セキュリティ/コミュニケーションズグループディレクターの和田英穂氏は「ITベンダーは、二番底になった場合のビジネスプランを保険として用意しておくことが重要である」とコメントしている。
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