シャープは10月28日、2011年3月期第2四半期(4月1日〜9月30日)の連結業績を発表した。4原色技術を採用した液晶テレビ「AQUOS クアトロン」や、オープンOSを搭載した携帯電話の新商品投入などの推進により、営業利益は前年同期比28倍になる434億円となった。
売上高は前年同期比16.7%増の1兆5039億円、経常利益は262億円、四半期純利益は143億円と、前年同期を大きく上回る結果となった。
液晶パネル、太陽電池工場である「グリーンフロント 堺」の本格稼働もあり、大型液晶パネルの生産体制が整った液晶パネルは、売上高で前年同期比35.4%増の5405億円、営業利益で同52%増の54億円と好調に推移した。
シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏は「大型液晶では、テレビ用の需要増を背景にグリーンフロント 堺の生産能力増により、販売は大きく増加した。中小型液晶は上半期前半は厳しい状況だったが、後半に入りスマートフォン向けの伸長があり、回復基調になった」と、説明する。
液晶テレビ自体も、第2四半期累計で628万台を販売しており、台数ベースで前年同期比43%増を記録。年間の販売台数予想である1500万台は「計画どおり進んでいる」(片山氏)と話す。今後の動向については「11月に1つの山が来て、12月の年末商戦、3月のエコポイント終了のタイミングと、波は3回くると思っている。欠品を出さないようにしたい」とした。
記者会見場で、9月に日本市場への再参入を発表したLGエレクトロニクス・ジャパンについて質問が飛ぶと「シャープはがんばらなくてはいけない。AQUOSが負けるようでは困る。今まで以上に、日本市場の消費者目線に立ち、グローバルでの目線も意識しながらやっていきたい。4原色やBlu-ray内蔵モデルなど、いろいろな付加価値をつけ、競争力を強化していく」と答えた。
一方、前年並みの4500億円を年間売上高と予測する携帯電話は、年間販売台数予測1100万台のうち、第2四半期累計で531万台を販売した。
「国内は市場が成熟し、シュリンクしていたが、スマートフォンの拡大など業界動向の変化をチャンスと捉えている。オープンOSを搭載しながら優れたUIや3D表示など、明確な差別化を図ったスマートフォンやタブレット端末を発売していく」という。
3Dスマートフォンについては「今年度中に展開する。3Dに関しては、メガネをかけて視聴するテレビだけではなく、3Dを楽しむ環境を推進していきたい」と話す。
12月に電子ブックストアサービスをスタートする、クラウドメディア事業「GALAPAGOS」に関しては「新しい体験を提供していく商品。GALAPAGOSのように商品単品の売り切り型ではない、ソリューションを提案するビジネスモデルへ転換を図りたい」と、今後を示唆した。
2011年3月期の連結業績見通しについては、売上高は3兆1000億円と前回予想を据え置いたものの、営業利益は900億円、経常利益は550億円、当期純利益は300億円とそれぞれ下方修正した。下方修正の要因としては「大型液晶が当初見込みより落ちている」ことを挙げた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」