MS、ホームオートメーションの「HomeOS」をiPhoneライクなアプリストアとともに開発中

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子2010年10月12日 13時08分

 2010年9月に「HomeOS」というMicrosoft Researchの最新の研究プロジェクトについて紹介した。HomeOSは、異機種混在環境でさまざまなデバイスとシステムがシームレスに協業することを設計目的としたOSだ。

 Microsoftは10月初め、10月後半に開催されるワークショップ「ACM Workshop on Hot Topics in Networks」を見越して、HomeOSと「HomeStore」に関するホワイトペーパーを掲示した。HomeStoreはHomeOSに付随するアプリケーションストアで、「iPhone」のアプリケーションストアを模倣したものだ。

 最新のホワイトペーパーによると、HomeOSは中央集中型ホームオートメーションOSで、TV、スマートフォン、照明とさまざまなものを対象とする。OSのプロトタイプは「.NET Framework」上に構築されており、提案されているドライバやアプリケーションも全て.NETをベースとする。

 以下の図は、Microsoftの研究者が作成したHomeOSの説明スライドだ。


 最新のホワイトペーパーは「The Home Needs an Operating System(and an App Store)」(家庭にも必要となるOS(とApp Store))というタイトルで、土台レベルのOSがどのようなものになるのかの詳細情報はない。Windowsの一種になるのだろうか?それとも、Microsoft Researchが進めているモバイルOSイニシアティブ「Menlo」をベースとしたものだろうか(少なくとも互換性はあるかもしれない)?あるいは、コアにMicrosoft Researchが開発するマイクロカーネル「Singularity」を採用するのだろうか(Ma-Config.comのCharon氏によると、SingularityはすでにMicrosoft社内でホームOS候補として考えられているとのことだ。HomeOSのホワイトペーパーについてわたしに教えてくれたのも、このCharon氏だ)?

 HomeOSプロジェクトの研究者は、オートメーションシステムとともに実際に家庭を訪問して現場での調査を行った結果、初期段階の結論に達している。研究者らは、ユーザーがある種のデバイスのアクセスを一定時間に制限できるように、HomeOSのアクセス制御に時間の観念を組み込むことが必要と考えている。また、どのユーザーがアプリケーションをアクティベートしたのであれ、アプリがある種のリソースにアクセスするのを制限する必要もあると考えている。このほか、理解しやすいセキュリティ設定モデルの提供も必須と研究者は記している。

 「iPhoneモデルに着想を得た」というHomeStoreは、HomeOSと接続するデバイスとアプリケーションの流通を簡素化するのを支援する。それだけでなく、オススメのアプリ、品質チェック、ユーザーの評価などの機能もあるという。

 興味深いのは、Microsoftは単独でHomeStoreを管理しようとしているのではないという点だ。

 「HomeStoreがホームアプリケーションの唯一の門番となることは望んでいない。複数のHomeStoreがあり、ユーザーが最も信頼するHomeStoreにアクセスできるようにしていく」と研究者はホワイトペーパーに記している。

 (これは、次期OSの「Windows 8」でMicrosoftが目指しているとリークされているアプリケーションモデルに似ているように見える。Microsoftはここで、自社が単独でアプリケーションストアを提供するのではなく、さまざまなOEMが自社でアプリケーションストアを展開するようにしていくと予想されている)。

 HomeOSもHomeStoreもまだ初期段階に過ぎない。研究チームは現在家庭で使われているさまざまなデバイスを使った実験台を設定したところだ。これまでのところ、メディア標準のDLNAをサポートしたドライバ、ホームオートメーションのZWave、ビデオカメラ、「Windows Mobile」スマートフォンを実装しているという。

 研究チームはまた、複数のデバイスを利用するサンプルアプリケーションも紹介している。家庭内のある部分に電気が点くと音楽が流れる「スティッキーメディア」アプリ、スマートフォンの音声と玄関カメラの画像を使って特定のユーザーと認識できると電気が点く2ファクター認証アプリ、家庭内の全デバイスに対するユーザーのアクセス情報を把握・制御できるホームブラウザ、の3種類だ。

 会長のBill Gates氏を含めMicrosoftの幹部らは2000年前半から、.NET対応のコーヒーポット、掲示板、冷蔵庫のマグネットなどがホームの一部となり、スマートなデバイスがやりとりし、相互運用するという世界を描いてきた。どうやら、Microsoftはその構想をあきらめていないように見える・・・。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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