Citrix Systems(Citrix)のカンファレンス「Citrix Synergy 2010 Berlin」がドイツのベルリンで10月6日(現地時間)に開幕した。5月には「Citrix Synergy 2010」が米国サンフランシスコで開催されたが、ベルリンは欧州および北アフリカ地域の顧客向けイベント。初日の基調講演ではCitrix SystemsのPresident兼CEOであるMark Templeton氏が登壇。同社の最新の取り組みや最新の製品群を紹介した。
企業がビジネスを革新するためには投資が必要だ。しかし現在、“何に”投資すべきかという点を把握することが難しくなってきたとTempleton氏は語る。そこでバーチャルコンピューティングを利用し、さまざまなOS、ハードウェア環境でビジネスを遂行できるようにすることで、投資の価値を高めることができると訴える。さらに、Citrixの掲げるコンセプト「work.shift」を紹介。オフィスや自宅など、時々の状況に応じて柔軟に業務を遂行するスタイルが仮想化によって実現するとした。
このようなワークスタイルの変革には3つの要素が重要になる。それが「Virtual meeting」「Virtual desktop」「Virtual datacenter」なのだという。
Citrixでは、Virtual meetingを実現する製品として、SaaS型のビデオ会議サービス「GoToMeeting」を提供している。2009年で1億ユーザーの利用実績があり、WebExに次ぐ2位をMicrosoftと争う状況だという。
iPadアプリ版の提供も始まっているGoToMeeting。これまでは英語圏(米国、カナダ、英国、オーストラリア)に限定して提供されてきたが、今回新たにフランスとドイツでサービスの提供を始めることが明らかにされた。加えて、HD画質対応の「GoToMeeting with HDface」を発表。10月中にベータ版が公開され、2011年度第1四半期にも正式版をリリースする。
2つ目のVirtual desktopを実現するのは、デスクトップ仮想化製品「XenDesktop」だ。XenDesktopは、2009年10月に「XenDesktop 4」を発表して以降、350万ライセンスを販売するに至ったという。「Fortune 100のうち50%の企業を顧客として獲得した。リーダーシップでもシェアでも(デスクトップ仮想化を)けん引している」(Templeton氏)
今回のイベントでは、XenDesktopの最新版となる「XenDesktop 5」が発表された。新たに仮想化デスクトップの高速な構築を実現する「Desktop Studio」やモニタリング機能の「Desktop Director」を搭載。管理者向けの機能を充実させた。
また、高品位のユーザーエクスペリエンスを実現するHDXテクノロジーも改善。ビデオや印刷の高速化を実現した。そのほか、デスクトップ仮想化クライアントソフトの「Citrix Receiver」もアップデート。これまでのPC、iPad、Android端末に加えて、Research In Motion(RIM)のBlackBerryやDellのStreakなどにも対応する。会場ではiOS 4.2と同時に公開される予定の「Citrix Receiver for iPad」次期バージョンのデモも披露した。
Virtual datacenterとしては、ロードバランサーの「NetScaler」とサーバ仮想化ソフトの「XenServer」を紹介した。XenServerは日本では楽天やソフトバンクなどが採用しているが、すでに5万以上のユーザーを持ち、Fortune 500のうち、半数の企業が利用しているという。今回発表した「XenServer Feature Pack for v5.6」では、分散仮想スイッチを搭載するほか、XenDesktopユーザー向けのローカルホストキャッシュ機能「IntelliCache」を備えた。
Templeton氏は、「バーチャルコンピューティングのプラットフォームを使えば、ユニークな差異化を実現でき、迷路から抜け出て問題を解決できる。それが我々のコミットメントだ」と、同社のビジョンと製品に自信をみせていてる。
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