Googleは、オンライン旅行会社ITA Softwareの買収提案について米司法省から懸念が示されたことで、規制上の難題に直面している。
検索大手のGoogleがITAを買収するには、米国時間7月1日に発表した7億ドルの買収提案が政府の承認を得ることが必須となる。ITAは、大手航空会社、旅行代理店、旅行用検索エンジンとの提携を通じて、旅行者がより安価な航空運賃を見つけるのを支援している。Googleの狙いは、ITAの技術を自社の検索エンジンに組み込み、ユーザーがGoogleのサイトでより容易に直接チケットを検索できるようにすることだ。
だが司法省は、GoogleがITAの買収によって、オンライン旅行業界を支配するほど過大な力を持つことになるのではないかと懸念している。Googleが2010年8月下旬に明らかにした司法省による審査では、独占禁止に関する2つの重要事項が焦点になっているようだ、とThe Wall Street Journal(WSJ)が9月6日に報じた。
第1の要点は、KAYAK、Orbitz、Expediaなどの旅行サイトやMicrosoftのBingが、ITAのサービスをすでに利用していることだ。GoogleがITAを買収しても、これらの企業はITAの旅行データを引き続き利用できるのだろうか。WSJによると、オンライン旅行業界の一部はすでに、この買収によってGoogleが格安航空券検索の新しいハブとなり、ユーザーが自分たちのサイトから離れてしまうのではないか、との懸念を司法省の弁護士に伝えたという。
第2の要点は、現在のところ、Googleで旅行商品や航空運賃を検索したユーザーは他のウェブサイトに誘導され、そのサイトでフライトを予約できるようになっていることだ。司法省は、Googleがユーザーを自前の旅行サービスサイトに誘導できることに対する潜在的な影響力に関心を示している。MicrosoftやExpediaといった企業の担当者らは、こうした問題についても司法省と話し合ってきた、とWSJは報じた。
一方、Googleは今回の買収に関するいくつかの懸念に対処すべく試みてきた。同社は、飛行機のチケットをユーザーに直接販売する計画はなく、引き続きExpediaやOrbitzなどのサイトにユーザーを誘導してチケットを購入してもらうつもりだと述べてきた。Googleはさらに、自社で何らかの新しい旅行サービスを創設する場合も、割安のチケットを見つけることを期待する一層多くの顧客をサードパーティーのサイトに誘導できるだろう、と主張してきた。
Googleは、この買収が承認されることについて自信を表明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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