オンラインでのデータ保存サービスを手がけるEvernoteが米国時間8月9日、7月初めごろに発生したハードウェア障害のために、世界中のユーザーのうち6000名以上のデータが影響を受けたことを認めた。
この問題を初めて報道したのはブログTechwave(英語版)で、日本の毎日新聞のオンラインサイト毎日jpの記事を引用して報道した。Evernoteの最高経営責任者(CEO)Phil Libin氏は9日、同社のブログでEvernoteユーザーに対し、今回のデータ消失はサーバのハードウェア障害が原因だったと説明した。
「すべてのユーザーのデータは『シャード』に保存されている。1つのシャードは、1台のサーバと、冗長化されたもう1台のフェイルオーバーサーバで構成されていて、あるサーバに問題が発生すると、シャード内でもう1つのサーバへのフェイルオーバーが自動的に行われるシステムになっている。現在37のシャードがあるが、22番のシャードで7月に問題が発生した」
Evernoteのバックアップシステムでは、ユーザーのデータは、オンサイトサーバ、オフサイトサーバ、ソフトウェアを使用するユーザーのローカルコピーなど、最大で6つの異なる場所に保存される。しかし、4日間続いた今回の問題の場合、システムの1つで障害に有効に対応することができなかったため、ユーザーのデータが単純に上書きされていた。「つまり、そのシャードは一定期間2台のサーバ間でフェイルオーバーを相互に繰り返したため、その期間内に作成されたデータの一部が上書きされた」とLibin氏は説明している。
またLibin氏は、米CNETの電話取材に対し、トラブルの影響を受けた6323名のユーザーのうち、およそ70%はデータの復旧に成功したと述べた。
Evernoteのソフトウェアでは、オンラインに保存された任意のデータとの同期を行う前に、作業中のデータのコピーを保存している。そのため、この問題に対処して解決したあと、同社は多くのファイルの完全なコピーを取り出すことができた。ただし、Evernoteのサイトだけで作業し、障害が起こったシャードにデータを保存していたユーザーには、こうした保護策が機能しなかった。
Evernoteでは、お詫びとして、問題の起こったユーザーに年額45ドルのプレミアムサービスを1年間無料で利用できる権利を提供した。すでにプレミアムサービスに登録していたユーザーは、無料で1年間延長できる。
一方、この問題が再び発生する可能性について、Libin氏はほぼありえないとしている。「この問題は珍しいタイプのハードウェア障害だったが、われわれはフェイルオーバーのプロセスを変更したので、こうしたことは二度と起こらないはずだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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