セクシャルハラスメントと経費報告に関するスキャンダルを受けてMark Hurd氏がHewlett-Packard(HP)を辞職したことは、尊敬を集める経営者である同氏にとって大きな打撃だが、同氏が去ったHPにとっては特に大きな打撃だ。
今回の件でよかったのは、Hurd氏が5年間をかけて、HPを同社の歴史で最も不安定だった時期から立ち直らせ、テクノロジ分野の頂点へ押し上げた後で辞任したということだ。Hurd氏はHPが確固たる地位にあるときに同社を去った。そして同社は現在、Hurd氏が入社したときよりもはるかに良い状態にある。HPの2010会計年度第2四半期における売上高は300億ドルだったが、2005会計年度第2四半期の売上高は約220億ドルだった。
では、HPは今後どうなるのだろうか。新しい会長とCEOを見つけること以外は、これまでと何も変わらない可能性が高い。投資家は明らかに動揺しており、HPの株価は米国時間8月6日、10%減の41.84ドルで取引を終えた。しかし、HPの方向性に関して言えば、今回のニュースを受けた業界内では、(少なくとも経営面では)Hurd氏の辞任による負の影響がすぐに現れることはないというコンセンサスが形成されつつある。このことは、Hurd氏のCEOとしての優秀さを示している。
「幸い、Hurd氏はHPを非常にうまく機能させてきたので、(今後大きな変化が起きる)可能性は低いだろう」。GartnerのアナリストであるMartin Reynolds氏はこのように述べる。
HPはHurd氏の下で、投資家のために懸命に利益を生み出してきた。同氏がCEOを務めた5年間で、HPの株式市場価値は450億ドル増えて、1080億ドルに達した。
そして、企業が利益を上げており、効率的に経営されていると見なされているとき、思い切った変化を期待する人はあまりいない。
HPの暫定CEOであるCathie Lesjak氏(毎四半期、同社の決算を投資家に発表している人物)は、25年近く同社に勤務している。Lesjak氏はCEOの職に恒久的に留まる予定ではない。しかし、Lesjak氏は6日、「HPの将来に関して、これほど大きな自信を抱いたことは一度もない」と述べ、懸命に投資家をなだめようとした。
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