国内ではすでに、Western Union Payment Services UK Limited、ウニードス、ジェイティービー、トラベレックスジャパン、楽天の5社が資金移動業者として登録済みだ。楽天はEdyを使って送金サービスを展開しており、Western Unionはセブン銀行と連携して2010年内にも国際送金サービスを展開する予定という。
このほか、NTTドコモは送金サービス「ドコモ ケータイ送金」を提供しており、KDDIもじぶん銀行を設立するなど、限定的に送金サービスを提供している。NRI情報・通信コンサルティング部 主任コンサルタントの田中大輔氏は、今後参入が期待される企業として、「端末からネットワークまで一括して管理している携帯電話事業者が最も現実的」と述べている。
また、利用頻度の高いコンビニやスーパーなどの流通事業者も、送金された現金の受取口として有望という。加えて、資金移動業者間をつなぐプラットフォームを構築するシステムインテグレーターにもビジネス機会があるとしている。
安岡氏によると、参入における明確な決まりなどは定められておらず、事業者が事業全体として黒字であれば参入できる可能性があるという。
田中氏は、「日本はこれから送金サービスが本格化するが、既存企業も工夫や協業などにより電子決済サービスを拡大させることができる」と述べている。日本市場への参入が見込まれているPayPalは、iPhoneアプリを使って対面で送金できるサービスを提供している。また米国には「Square」と呼ばれる、iPhoneのイヤホンジャックに専用のクレジットカードリーダを差し込んでクレジットカード決済できるサービスもある。
日本の消費支出に占める決済手段の比率は、2008年度で現金・銀行口座の割合が81%を占める。消費支出288兆円のうち約230兆円という規模だ。田中氏は、「決済手段は多様化しており、拡大の余地はある」と予測している。
今後の課題は、参入コストと提供コストを抑える必要があるとしている。理由として、「既存の銀行間での送金よりも価格が高くなってしまっては、顧客は寄り付かずビジネスとして成り立たない」とし、「手軽な送金サービスとして提供する必要がある」(田中氏)と提言。また、事業者間の運用性も簡素化、標準化する必要があるとしている。
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