構造改革も“守りから攻めへ”--富士通全社がサービスにシフト - (page 3)

冨田秀継(編集部)2010年07月09日 22時09分

2011年度に営業利益2500億円、達成のための2つのシナリオ

 2010年度以降も2つの成長シナリオを用意し、攻めの姿勢を崩さない。本業を強化し、2011年度には営業利益2500億円を目指したい考えだ。

 第一のシナリオ「真のグローバル化の加速」では、日本と同レベルに高い信頼性を持つクラウド基盤を5カ国に展開することで、均質なサービスをグローバルに提供できる体制を確立。従来取り逃していた商談を確実に確保していく。これにより、2003年度には29%だった海外売上比率を、2010年には37.5%、将来的には40%超を目指す。また、山本氏は「富士通に足りない部分を保管するための必須戦略」として、パートナー戦略も挙げている。

 いま一つの成長シナリオは「新しいサービスビジネスの創造」。従来のサービスとパートナー戦略を組み合わせることで、新サービスの創出につなげたい考え。これまでITが問題解決の対象としていた領域に加え、スマートグリッドなどの社会的課題の解決や、電子書籍やデジタルサイネージといったサービスを融合させた新規事業を創出する意向だ。

  • XaaS領域でグローバルパートナーシップ戦略を強化している

  • 従来のITの領域から新領域でサービス創出を目指す

 山本氏は、「これら2つの成長シナリオがグループの業績に貢献し始めるのは、2011年度だと考えている」と述べ、だからこそ「確実な立ち上げが必要だ」としている。そのため、2010年度は設備投資と研究開発費で総額4050億円の戦略投資を実行する。そのうち1000億円はクラウド関連だが、クラウド基盤としての次世代スーパーコンピュータにも投資を継続する。

攻めの構造改革+成長シナリオで営業利益2500億円を目指す※クリックで拡大画像を表示 攻めの構造改革+成長シナリオで営業利益2500億円を目指す※クリックで拡大画像を表示

 また、企業買収については、「強い技術を持っている会社か、良いお客様を持っているかが重要」と山本氏。「富士通には毎年1500億円レベルのフリーキャッシュフローがある。これをどう使っていくかが、私の経営判断の大きな部分となるだろう」と述べ、M&A展開に含みを残した。

 山本氏は「投資をさらに前倒しで進めることで、市場でのリーダーシップをとる」と、2010年度の事業展開に意気込みを見せている。

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