米国家安全保障局(NSA)が、電力、原子力、交通など、主要な公益事業に携わる民間企業や政府機関に対するサイバー攻撃の監視プログラムを立ち上げようとしているという。The Wall Street Journal(WSJ)が米国時間7月8日の記事で報じた。
同記事によると、「Perfect Citizen」というこのプログラムはすでにさまざまな反応を呼んでいるという。産業界や政府関係者のなかには、NSAが国内の問題に立ち入ろうとしていると見る向きもあれば、サイバー攻撃の脅威と戦うために大いに必要とされる措置との見方もある。
Perfect Citizenは、サイバー攻撃の恐れがある場合に危険を知らせる一連のセンサーをさまざまなコンピュータネットワークに設置するというものだ。センサーは、送電網や原子力発電所、地下鉄システム、航空交通管制ネットワークなど、米国の最重要インフラを担う政府機関や民間企業に導入される。
当初はインターネット接続機能や本格的なセキュリティ機能がなく、その後、インターネットに接続されて攻撃を受けやすい無防備な状態のままになっている旧式のコンピュータシステムやネットワークに重点を置くという。WSJによると、Perfect Citizenの導入を民間企業に強制することはできないため、政府は新システムの導入を促すいろいろな刺激策を用意するらしい。
プライバシーに対する懸念はあるものの、Googleの例のように、多くの企業はさらなる防御策を有益と考えるかもしれない。Googleは2009年に、中国発のサイバー攻撃に関する調査への協力をNSAに求めた。報道によれば、GoogleとNSAは2010年に、将来のサイバー攻撃を防ぐためのさらに踏み込んだ提携について話し合いを行ったという。
ワシントンの政府関係者と民間企業の幹部は、米国の重要インフラに対して大規模なサイバー攻撃が行われれば政府と経済に深刻な影響を及ぼしかねない、との懸念をますます表明するようになってきている。米国の諜報専門家はすでに送電網などの主要公益事業に対するハッキングを監視しており、こうした攻撃は中国およびロシア発と見ている、とWSJは報じている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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