IDC Japanは7月8日、国内企業および団体2005社の情報システム部門のトップ(CIOまたはそれに準ずる人)を対象に実施した「IT投資動向」に関する調査の結果をまとめた。
これによると、景気悪化の影響で2009年の国内企業のIT投資は、システムの新規開発や更新の投資において大きく減少したという。ただし、2010年のIT予算については、前年比で依然として減少傾向にあるものの減少幅は小さくなる見込みだという。IDCでは「国内企業のIT投資が回復に向かう兆しが認められる」としている。
2009年度のIT投資実績は、前年比で「減少した」と回答した企業が全体の26.2%となり、「増加した」と回答した12.0%を大きく上回った。特に、システムの新規構築および購入については、多くの企業が投資額を減少させたと回答しており、投資が大幅に抑制されていたことがわかったという。
しかし、2010年度のIT予算については、前年度よりも増加させると回答した企業の比率は15.0%で、その比率は2009年度よりも増加している。このことから、2010年のIT投資は、減少傾向にあるものの減少幅は2009年よりも小さくなると考えられ、国内企業のIT投資が回復に向かう兆しがあるとIDCでは見ている。
また、大企業においては、今後IT投資を拡大させる領域として、業務システムの導入、人材育成、災害対策、コンプライアンス強化など「業務プロセス改善」のための投資や、インフラ統合、セキュリティ強化、運用効率化など「IT運用そのものを改善」するための投資が多く挙げられた。2010年以降は、これらの分野が、国内のIT投資の回復を牽引するものとIDCは予測している。
しかし、リーマンショック以降のIT投資マインドの急速な冷え込みによって、外部ITサービスに対する需要は縮小傾向にあった。そのためITサービス価格は、現在も低い水準にある。景気が回復しても、同価格が以前の水準に回復するには時間が必要だとIDCでは指摘する。IDC Japan、ITサービスリサーチマネージャーの伊藤未明氏は「ITサービスベンダーは価格低下に備えて、サービスデリバリ効率の改善や、IT戦略策定支援などの高付加価値サービスの開発に取り組むべき」とコメントしている。
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