日本IBM、CloudBurst新製品ほかWebSphereアプライアンス戦略を説明

柴田克己(編集部)2010年07月07日 14時34分

 日本IBMは7月6日、アプリケーションやミドルウェアの配布に最適化されたアプライアンスの新製品「IBM WebSphere CloudBurst Appliance V2.0」を発表した。7月23日より提供を開始する。

 CloudBurstは、主に企業におけるクラウド環境の配備を迅速に行うことを目的に、必要なハードウェア、ソフトウェアを組み合わせて提供するアプライアンスソリューション。「V1.1」は2009年7月、「V1.2」が2009年11月にそれぞれリリースされている。システム管理者は、アプリケーションサーバやデータベースの構成、アプリケーションの導入、ネットワークやパラメータの設定を1度行えば、その後の配布作業はCloudBurstが自動的に実行する。同社の試算によれば、アプリケーション配布に関するシステム管理者の作業は、CloudBurstを利用することで約10倍効率化できるとしている。

 最新版となるV2.0では、配布対象のミドルウェアとして「IBM WebSphere Application Server」に加え、新たにBPM管理サーバの「IBM WebSphere Process Server Hypervisor Edition」、CloudBurstで配布したミドルウェアの実行管理ソフト「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition Intelligent Management Pack」、DBMS「DB2 Enterprise Server Edition」の3製品が追加された。

 また、仮想化ソフトウェアとしては、従来からの「VMware ESX」に加え、「IBM PowerVM」「IBM z/VMハイパーバイザー」に対応。OSとしては、「Novell SUSE Linux Enterprise Server」に加えて、「Red Hat Enterprise Linux Server」のサポートを追加している。同社によれば、「通常数日程度の時間がかかるシステム構築作業が、CloudBurstを利用することにより数分のオーダーで完了する」としている。税別価格は、643万5000円より。

 同日、都内のホテルで開催されたIBMソフトウェア事業のプライベートイベントである「IBM Software Impact 2010」の会場で行われた発表会では、日本IBM理事、WebSphere事業部長の熊本義信氏が、同社ミドルウェア製品のアプライアンス化戦略に関する説明を行った。

熊本義信氏 日本IBM理事、WebSphere事業部長の熊本義信氏

 熊本氏は、WebSphereブランドのミドルウェア群が機能強化や買収を繰り返しつつ、「トランザクション管理」から「サービス指向アーキテクチャ(SOA)基盤」の構築、さらに「ビジネスプロセス管理(BPM)の自動化、統合、最適化」へと役割を変化させてきた点を説明。次の段階は、「ビジネスルールの管理とビジネスイベント処理の基盤を提供すること」であるとする。そのためのミドルウェアをアプライアンス形式で提供することのメリットとしては、「投資効果の見えやすさ」「相性問題などを考慮せずにすむ設定の容易さ」「専用機ならではのパフォーマンスの高さ」を挙げる。

 今後、WebSphereブランドでクラウド環境向けに提供していくアプライアンス製品として、ひとつのカギとなるのが買収したCast Ironの製品である「Cast Iron OMNICONNECT」だ。第3四半期中の出荷が予定(価格未定)されているこのアプライアンスは、システム間のデータ連携をノンコーディングで行えるようにする製品。主要なパッケージソフトやSaaSの事前定義テンプレートが用意されており、GUIを使った操作でデータのマッピングが行える。社外のクラウド上にあるシステムと、社内システムとの統合を「数日のオーダー」(同社)で実現するという。

 「CloudBurst」「OMNICONNECT」、そしてSOA基盤「WebSphere DataPower」や大規模トランザクション向けのキャッシングアプライアンス「WebSphere DataPower XC10」(いずれも出荷済み)を組み合わせて配備することで、プライベートクラウドの構築、運用、管理、トランザクションの効率的な処理、セキュアなシステム間連携、SaaSと社内システムとの連携によるハイブリッドクラウドの構築といった「クラウド時代に求められるIT基盤」の迅速な配備を可能にするという。

 「IBMは、古くよりSystem i(AS/400)において、ハード、OS、ソフトをパッケージとしてオールインワンで提供し、運用面、可用性の面でのメリットを提供してきた」(熊本氏)とし、WebSphereブランドにおけるアプライアンスの意義を強調。パートナーとの強調による認知の拡大、市場の創出にコミットしていく姿勢を明らかにした。

WebSphereアプライアンス戦略 クラウド時代の企業IT基盤に対する各々の要求に、目的特化のアプライアンスを提供し、運用管理、可用性、コスト面でのメリットを訴求する

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