IBMは米国時間6月16日、マサチューセッツ州に新たなソフトウェア研究開発拠点を設立すると発表した。発表に際してモバイルエンタープライズ戦略に触れる中で同社は、携帯電話市場の舞台裏を支えるソフトウェアプロバイダーになりたいとの意向を明らかにした。
新たな開発拠点はマサチューセッツ州リトルトンに設けられ、約3400人の従業員を擁し、ソフトウェア開発専門の研究所としてはIBMでも北米最大規模になる。同拠点では、携帯電話市場向けのソフトウェアおよびアプリケーションの開発に重点的に取り組む計画だ。AppleやGoogleなど、携帯電話市場を席巻している他の大手テクノロジ企業とは異なり、IBMは、スマートフォンOSを開発しているわけでもなければ、個別のモバイル「アプリ」の開発に力を注いでいるわけでもない。代わりにIBMは、移動体通信事業者を対象としたソフトウェアおよびソリューションの開発に舞台裏で取り組むことにより、各通信事業者が顧客向けに新たなアプリケーションやサービスを構築できるよう、支援する計画だ。
IBMで「Tivoli」ソフトウェア担当ゼネラルマネージャーを務めるAl Zollar氏は、次のように述べた。「当社のモバイル分野における関心の対象は、個々のデバイスから目に見えないもの(ソフトウェア)へと移りつつある。IBMはこの分野における大きな成長の機会をつかむうえで良い位置にいると、われわれは考えている」
モバイルエンタープライズ市場において、IBMはHewlett-Packard(HP)およびSybase(SAPが買収を発表済み)と一部で競合している。ただしこれらの企業は、ユーザーに直接接するアプリケーションに力を入れている。一例を挙げると、HPはモバイルOS技術を強化する試みとして、Palmを買収したばかりだ。これに対し、IBMはどちらかと言うとミドルウェア企業であり、モバイル市場のバックエンドに注力して通信事業者のシステム統合を支援していく計画だ。
多くの消費者には知られていないことだが、IBMによれば、現時点でもスマートフォン用ソフトウェアの約8割が、開発に際して同社の技術を用いているという。また、世界中の通信事業者が、長年にわたりIBMのソフトウェアを使用して自社のネットワークを管理している。
新たな開発拠点の設立に関して今回IBMが発表した新戦略の中には、移動体通信事業者向けの、基地局における消費電力管理を改善するための技術も含まれる。IBMはまた、「Android OS」向けに「Lotus Notes」の機能を統合し、フルサポートを提供することも明らかになった。さらに、4G携帯電話ネットワークに移行する移動体通信事業者向けに、ネットワーク資源管理の改善を支援する新たな研究プロジェクトも、併せて発表された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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