「Office 2010」が小売店に並んだ米国時間6月15日、Microsoftがある数字を引用した。だが、どうもあやしい気がする。Microsoftは(comScoreの数値に基づき)、Officeのインストールは世界で10億を数えるという。
うーん。世界のPC台数も10億台を上回るレベルではなかったか?ということは、全てのWindowsユーザーがOfficeを持っているということだろうか?
6月15日に米ニューヨークで開かれたOffice 2010のローンチパーティで、Microsoftのビジネス部門担当シニアバイスプレジデントのChris Capossela氏に、この数値について聞いてみた(オレンジ一色だったローンチパーティの写真は、ブロガーのLong Zheng氏が掲載している)。
Capossela氏は、MicrosoftもcomScoreも、Officeユーザーが10億人と主張しているのではない、と説明した。ユーザーは7億5000万人と見積もっているとのことだ(ここ数年の間にOfficeチームが述べていた数値は5億人だったので、これよりも増えたことになる)。
comScoreはOfficeがインストールされているPCの台数、つまり、Officeの試用版を搭載したPC(その後、完全版にアップグレードされたもの・されていないものも含む)もカウントしている、とCapossela氏は述べる。10億という数字には、不正コピーや個人ユーザーが1台以上のPCでOfficeを動かすような状況も含まれる。
「(comScoreは)外挿法を用いている」とCapossela氏。そして、10億台ものPCの上で何が動いているのかを確認することは不可能だ、と付け加えた。
comScoreが2007年に開始したTech Metrixサービスは、他社の測定サービスと同じようなもので、comScoreによるデータ追跡に合意した個人ユーザーからの情報をモニタリングしている。ハードウェアデータでは、システム製造社、プロセッサ名/種類、OS、サービスパック、CPU、RAM、ハードドライブ容量、CD/DVDドライブ、画面解像度、ビデオ/サウンドカードなどを測定している。ソフトウェア側は、インストールされているプログラムとバージョン番号、インタラクティブ時間、デフォルトのウェブブラウザとその設定、データファイルの数とサイズ、マルチメディアファイルの種類などとなる。
Microsoftが「10億」以外に公開した数値としては、Office 2010とともに出荷されるコンシューマーと小規模ビジネス向けPCが今後12カ月で1億台に達するという予想がある。この数値には、「Microsoft Works」を置き換える「Office Starter 2010」も含まれている。Capossela氏によると、Worksは年間約4000万台のコンシューマー/小規模企業向けPCに含まれていたとのことだ。
Microsoftは、Office 2010は旧バージョンと比較して、インストール時間が短縮されたことも強調している。最新の「Click-to-Run」ストリーミング技術を利用して、顧客はどのOffice SKUも1〜2分で利用できるという(残りの作業は、バックグラウンドで行われるため)。「Office 2007」をはじめ、これまでのOfficeでは15分から1時間を要したことを考えると、大幅に高速化されたといえる。
Office関連でもう1つだけ記しておく。Microsoftは2010年初めに、Office 2010では安価なアップグレードエディションを提供しないことを明らかにした。「Google Docs」など競争が激しくなり、「いまあるOfficeで十分だ」というユーザーも増える中、Microsoftが既存のOfficeユーザーにきちんとした割引や奨励を提供しないのは、信じられない直感に反することだ、という意見に同意する。しかし、Microsoftの戦略はそうではなく、ブロガー仲間のEd Bott氏が指摘しているように、割引価格でOffice 2010を手に入れる方法をちゃんと用意しているのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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