AOLの最高経営責任者(CEO)であるTim Armstrong氏は、高額で買収したものの今では頭痛の種となっているBeboの今後について、2010年の春が終わるまでに決めるとしていたが、今になってようやくその約束を果たすことを決めたようだ。
Mashableは米国時間6月16日朝、Beboが売却されたと伝えた。これに続いてThe Wall Street Journalも同日、売却は「決まった」が契約は完了しておらず、買収先はカリフォルニア州スタジオシティーに本拠を置くヘッジファンド、Criterion Capital Partnersだと報じた。AOLにコメントを求めたが、回答はなかった。買収金額はまだ明らかにされていないが、The Wall Street Journalは、これまでのCriterion Capital Partnersの買収案件は300万〜3000万ドルの範囲内であることが多いと述べている。
買収金額がこの範囲内なら、Beboの価値は大幅に下がったということになる。AOLは2008年初めに8億5000万ドルでBeboを買収した。当時のBeboは、欧州のいくつかの国では10代の若者に人気のあるソーシャルネットワークサイト(SNS)であり、ソーシャルメディアサイトを傘下に置くことが、ライバルと目されるFacebook並みの世界的な勢力を獲得するのに役立つ可能性があった。Beboは当時、会員数が4000万人を超え、さらなる成長への態勢も整っているように見えた。だが今になってみると、当時の買収金額はかなり高すぎたうえ、Facebookがこの分野でその後もシェアを伸ばし続けたことを考えると、近視眼的な取引だったと思われる。
噂によると、Bebo買収の時点で、そもそもAOLの幹部全員がこの案件を支持していたわけではなかったようだ。買収から1年後、相次ぐ経営陣の刷新を受けて、Googleの元販売部門幹部のArmstrong氏がCEOに就任した。同氏はCEO就任後間もなく、AOLはコミュニケーションとアクセスの企業ではなく、次世代の出版社だとして、同社の立ち位置の修正を始めた。それから2カ月後、AOLはロシアの投資会社Digital Sky Technologiesにインスタントメッセージングサービス「ICQ」を売却した。
CEOに就任して以来、Armstrong氏は公の場で、Bebo買収は失敗だったと繰り返し認め、買収に批判的な人たちに対しては、契約が成立した時に自身がまだAOLに所属していなかったことを説明してきた。さらに同社は4月になって、5月末までに買い手が見つからなければBeboが閉鎖されることを認めていた。
情報筋によると、AOLはBeboの閉鎖を最悪の事態における最後の手段と考えていたようだ。サイトの閉鎖には多額の費用がかかるうえ、迅速に売却する場合と比べても、さらに同社の評判を落とす結果になりかねないからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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