Appleは米国時間6月7日、ウェブブラウザ「Safari 5」を公開した。同ブラウザは先週末、Worldwide Developers Conference(WWDC)の開幕前に、同イベントで発表されるとうわさされていたものの1つだった。そして、Steve Jobs氏がSafari 5を発表せずに壇上から降りたことは、同氏の行動を予測する多くの人を驚かせた。その後、PRNewswire.comにAppleのプレスリリースが掲載されたが、ブラウザの発表はなかった。さらにその後、そのプレスリリースは同サイトから姿を消した。この一件は、Steve Jobs氏が厳重に管理する広報機構が「iPhone 4」の発表中に珍しくミスを犯したことに続く2度目の失態だったようだ。Safari 5は、その後すぐに発表された。
Safari 5は「Windows」と「Mac」で利用することができ、いくつかの新機能が含まれているほか、パフォーマンスが向上している。その中で最も重要なことは既に発表済みだが、まだ有効にはなっていない。新しい「Safari Developer Program」は、Safariにもデジタル署名されたアドオンが到来したことを意味している。
現在のところ、Mac版Safariだけがアドオンをサポートしている。しかしSafariのウェブサイトは、その新しい拡張フォーマットがHTML5、CSS3、JavaScriptを基に構築されるため、クロスプラットフォームになるという可能性を示唆している。明らかに、Appleは名称が変わった「iOS」の力をデスクトップ版Safariにまで浸透させようとしている。というのも、Safari 5のプレスリリースには、それらの新アドオンは「サンドボックス化され、Appleから提供されるデジタル認証が入った署名付きのものが、ブラウザ内だけで動作する」と書かれているからだ。
Safari Developer Programについての説明の文言とAppleが管理するiOSマーケットプレイスを考えると、「Safari Extensions」は現在のところ、iOSの理念をSafariにも拡大しようとする試みのようだ。ただし、それは最終的に、単なるMozillaアドオンサイトのSafari版で終わってしまう可能性もある。
Safari 5には、記事を閲覧しやすくする「Safari Reader」や新しいアドオンネットワーク、パフォーマンスの劇的な向上、「Bing」検索のサポートも含まれている。Safari Readerは、ユーザーが単一または複数の記事を閲覧するときに、記事の表示スペースを最大化してブラウザを最適化する機能だ。ロケーションバーにある新しいReaderアイコンによって、同機能のオンとオフを切り替えることができる。記事の拡大表示や印刷、電子メール経由での共有などを実行できるマウスオーバーオプションも用意されている。
またSafari 5では次世代のHTMLコードであるHTML5のサポートが強化されているが、これは目新しい動きではない。Safari 5がサポートするようになったのは、HTML5ベースの動画のフルスクリーン再生、クローズドキャプション(字幕)、ジオロケーション、ドラッグ&ドロップ、フォーム検証、HTML5 Ruby、EventSource、WebSocket。「Firefox」「Chrome」「Opera」は、安定版や、おおむねの機能が動く開発版でこれらの機能をすべてサポートしている。もっとも「Internet Explorer(IE)」は、機能が限定された、アルファ版到達前の「IE 9」のビルドでサポートしているのみである。
Appleは、SafariのJavaScriptエンジン「Nitro」に大幅な改良を施し、Safari 5が前バージョンの「Safari 4」よりも30%高速化したと述べている。また、Appleが実施したベンチマークテストによると、Safari 5は「Firefox 3.6」の2倍の速さで、「Chrome 5.0」よりも3%速いという。Safari 5のウェブページ読み込みは、DNSプリフェッチによって高速化している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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