モバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」を提供するUQコミュニケーションズが、正式サービスを開始して、間もなく1年を迎える。これをうけて6月7日都内で発表会を開催。今後の戦略について語った。
UQコミュニケーションズはもともと、2007年8月にWiMAXサービスの企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画」として設立された。総務省の特定基地局開設計画認定にともない2008年3月に社名を現在のUQコミュニケーションズに変更。以後2008年8月には第1号となる基地局を横浜に開設し、2009年2月には試験サービスを開始。同7月には正式サービスを開始している。
2010年3月時点でのサービス提供エリアは、政令指定都市や県庁所在地を中心に47都道府県447市区町村、基地局の数は7013局。UQコミュニケーションズ代表取締役社長の田中孝司氏は、「当初は基地局が不十分と声もあったが、昨今東京エリアは十分とも言われるようになってきた」と語る。
4月に発表されているとおり、田中氏は6月14日の株主総会を経て取締役会長となり、現UQコミュニケーションズ顧問の野坂章雄氏が代表取締役社長となる。野坂氏は今後の戦略について、(1)外でも家でも利用でき、申し込みから即開通し、セットアップも容易という「便利」、(2)高速かつ配線が必要ない「快適」、(3)業界最安値をうたい、契約期間の縛りをつけない「安心(料金)」――の3つの価値を打ち出してサービスを提供していくという。
ヤマダ電機やビックカメラなどの家電量販店やインターネットサービスプロバイダー(ISP)向けの仮想移動体通信事業者(MVNO)事業も好調。家電量販店などでは夏商戦に向けてキャンペーンや売り場を拡大するといった動きがあるという。こういった勢いを受け、2011年度中にユーザー80万人を目指す。
ユーザー数の拡大に向け、何より優先するのはエリアの拡大だ。UQコミュニケーションズでは、当初の計画を1年から1年半大幅に前倒しして、今期8000局の基地局を増設する予定。首都圏に関しては、「通勤路線をほぼカバーする」(野坂氏)形になるという。
回線速度についても「現在利用する規格(802.16e)でのシステム上の最大速度は、下り40Mbps、上り10Mbps。2010年末に始まる次世代通信規格のLTEの最大速度が下り37.5Mbpsなので、その段階でも最速」(野坂氏)と優位性をアピールする。
また、実効速度でも、開局後間もなく10Mbps程度だったものを20Mbpsまで上昇させたとしており、8月には30Mbpsを実現すると説明。また、「64QAM」と呼ぶデータ転送方式を採用することで、2010年末には下り40Mbps、上り15Mbpsを実現する見込み。さらには現行のWiMAXの後継規格である「802.16m」を採用すれば、下り330Mbps、上り112Mbpsまで高速化できるとした。
デバイス戦略についても説明した。WiMAXを搭載するノートPCも増えており、現在発売中のもので9メーカー37機種が採用。「モバイルPCには今後標準搭載される勢い」(野坂氏)だという。
また、WiMAXを利用したWi-Fiルータについては、新たに「WiMAX Speed Wi-Fi」の名称で展開していく。同日より発売するシンセイコーポレーション、ソフトアンドハード、NECアクセステクニカらの端末を含め、5社7機種(モバイルタイプ4機種、据え置きタイプ3機種)をラインアップ。競合であるイー・モバイルが3G方式を採用して下り最大7.2Mbpsであることに対して高速であるとアピールした。
発表会ではこのほか、UQコミュニケーションズの田中氏とインテル代表取締役社長の吉田和正氏、マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏の3人によるトークセッションが行われた。
吉田氏は「1年でこれほどのネットワークが立ち上がった例はない」とUQ WiMAXを評価。さらに「ライフスタイルだけでなくビジネスを変化させる」とコメント。また樋口氏は、WiMAXがマイクロソフトが取り組むクラウド戦略と親和性が高く、重要なパートナーであるとした。
なおUQコミュニケーションズでは同日より、サービス開始1周年を記念した端末の半額キャンペーンを開始した。8月22日午後11時までにUQコミュニケーションズのウェブサイト経由で対象端末を購入すると、端末価格が半額となる。
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