ハリウッドに学ぶ--ITリーダーのプレゼンテーションを向上させる秘訣 - (page 2)

文:Marc Schiller(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子2010年05月31日 08時30分

プレゼンテーションとハリウッドの間には、どういった関係があるのだろうか?

 われわれはテレビや映画に慣れすぎているため、特に意識することなく見過ごしてしまっている事実がある。ハリウッドは、長く説明的な会話や長時間の視聴によって視聴者を飽きさせないようにしながら、ストーリーを伝えるための興味深い工夫をいくつも用いているのだ。筆者は「ボストン・リーガル」(訳注:ボストンのとある法律事務所を舞台としたコメディドラマ)のファンであるため、この人気ドラマを例にとって要点を説明したい。

 ボストン・リーガルのエピソードはたびたび次のようなシーンから始まる:ボストンの高層建築街を小気味よいテンポで写したいくつかのショットの後、特定のビルのショットが1つか2つ入り、次に「Crane, Poole & Schmidt」(訳注:主人公たちの所属する法律事務所)の看板が掲げられたオフィスの廊下から会議室に向かってカメラがパンし、新たなクライアントの服を脱がせているシーンを想像している主人公のアラン・ショアが映し出されるのである。

 このシーケンスには15秒もかけられていないものの、視聴者に重要な情報を伝えている。つまり、ドラマの舞台はボストンのビル街であること、しかもビル街にあるただのビルではなくオフィスビルであること、そのオフィスで主な登場人物たちが働いており、今まさにクライアントとのミーティングが行われようとしていることが伝えられるのである。こういったシーケンスでコンテキストが明らかにされるわけだ。これで視聴者は会話の中に入っていく準備ができたことになる。

 いきなりミーティングのシーンから始まった場合、筆者のようなファンならいざ知らず、このドラマを初めて見る視聴者にとっては何が起こっているのかを把握することは困難だろう。

 ドラマの冒頭がこのようになっているのは偶然の産物ではない。こういったコンテキストが作り出されるよう、事前に考え抜き、企画したうえで、視聴者に伝えているのである。監督はまさにそのように企画していたわけである。そして、監督の用いた企画手法は、絵コンテと呼ばれるものなのだ。

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