MetaMoJiは5月10日、オントロジー工学に基づく機能モデリングツール「OntoloGear」評価版の無償提供を同日より開始したと発表した。MetaMoJiでは、評価版の提供開始を機に、ツールの名称を3月に発表した「OntoGear」からOntoloGearに変更したこともあわせて告知している。同ツールは、OntoloGear製品紹介ページからダウンロードできる。
OntoloGearは、大阪大学 教授の溝口理一郎氏を中心に研究が進められてきたオントロジー工学の応用および実用化研究の成果として開発された。オントロジー工学とは、対象世界の概念構造を計算機利用可能な形式でモデル化する方法論で、人工物の機能構造を明示化するモデリング手法は、オントロジー工学において機能分解木を記述することに相当するという。
機能分解木は製品の機能を厳密に定義するための方法で、これまで属人的、組織固有の方法論で記述されてきた製品機能や生産プロセスなどに対し、簡易なインターフェースで厳密な記述ができる処理環境を提供する。これにより、製造業の設計、生産技術、品質管理、知財等多くの部門において、製品機能、製造知識等の経験知の記述が行われ、蓄積、再利用が進むことにより、製造業の競争力向上の一助となることが期待されているという。
OntoloGearは、機能分解木の定義、生成で多くの機能を持っており、実業務に使えるレベルまでの機能を持つツールとして、産業界から高い期待を受け始めているという。同ツールは、機械装置など人工物の機能構造を分かりやすい形式で明示化し、通常は埋没しがちな設計意図を顕在化することで,デザインレビューにおける理解の共有促進やトラブル発生の際の迅速な問題解決などに貢献するという。また、「ある機能をどのように達成するか」という方式に関する知識(方式知識)を体系的に整理する機能も有しており、企業独自の製造ノウハウを再利用および相互運用しやすい形で蓄積し、特許技術の管理や固有技術の継承などさまざまな目的で利活用できるとしている。
MetaMoJiでは、今回のOntoloGear評価版提供を皮切りに、これをベースとしたサーバ機能の拡張、より高度なモデリング機能の拡張、OntoloGearアプリケーション開発用ライブラリ、知識コンテンツ等の製品群を随時展開し、提供するなど、継続的に製品とサービスの充実を行っていく予定だ。さらに、近い将来、このOntoloGearを基盤として、専門家だけではなく広範な知識利用者が自由に参集し交流する知識コミュニティの場を提供することも予定しており、技術知識の相互活用に貢献していきたいとしている。
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