富士通の元社長、野副州旦氏の辞任を巡る問題が新たな展開を見せている。富士通のこれまでの主張に対して、野副氏側が4月22日に公開質問状を富士通に送付している。
公開質問状は、野副氏側が横浜地裁に申し立てた地位保全の仮処分手続きについて富士通から提出された主張と資料、富士通が3月6日に明らかにしたプレスリリース(「一部報道について」)、富士通が4月14日に出したプレスリリース(「元社長 野副州旦氏の辞任の経緯と当社の見解」)の内容を踏まえている。
野副氏側は、大きく分けて3点の主張をしている。1点目は、富士通が2009年9月25日のプレスリリース(「代表取締役の異動(社長交代)に関するお知らせ」)で野副氏が病気療養で辞任したという虚偽の事実の情報を開示して、「一部報道について」で修正した後でも、その内容と4月14日の記者会見で虚偽の事実を主張しているということだ。
2点目は、現在、取締役相談役を務める秋草直之氏と代表取締役会長の間塚道義氏に経営責任を問われるべき重大なコンプライアンスの違反があり、富士通には提出済みの有価証券報告書に記載されているコーポレートガバナンスが機能していない状態が長期間存在しているということだ。そして3点目が、野副氏に対する解任が著しく不当であったことが合理的に推認されているということだ。
公開質問状では、7つの質問を投げかけている。その内容は以下の通り。
公開質問状の回答期限は5月6日としている。富士通の現在の取締役の重任が議案となる株主総会が6月21日に予定されているからだ。野副氏側は、公開質問状について4月22日16時30分から記者会見を開く。会見の詳細は追って報告する。
なお、富士通は「4月22日に公開質問状を受け取った」と回答。宛先は「富士通株式会社」で、特定の人物に宛てたものではないという。また、同社広報IR室では「裁判も考えられるのでコメントは差し控えたい」と述べている。富士通が野副氏を訴える、あるいはその逆など、具体的な裁判を念頭においた発言ではなく、可能性としてそのような事態もあり得るためとしている。
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