IBMとサウジアラビアの国立研究機関は、太陽光を利用する淡水化施設をアルカフジに設立する。
このパイロット施設は、約10万人分の水を供給し、1日あたり約3万立方メートルの飲用水を生産する予定である。同施設は、太陽光発電による電力のみで稼働し、IBMとサウジアラビアの研究機関King Abdulaziz City for Science and Technology(KACST)が2008年に締結した共同研究に関する複数年契約の下に開発された、2つの画期的な技術が適用されている。
太陽光発電に関しては、同施設は、IBMとKACSTの共同プロジェクトの1つによって開発された超高効率集光型太陽光発電(ultra-high concentrator photovoltaic、UHCPV)セルを使用する。また、IBMのナノテクノロジーグループの1つは、KACSTの科学者らと共同で、逆浸透膜による海水淡水化に使用されるナノ薄膜のための、より優れたナノ構造ポリマーの開発にも取り組んできた。IBMとKACSTが開発したナノ薄膜は、塩分に加え、ヒ素などの有毒物質も除去することができる。IBMによると、このナノ薄膜を使用すれば、今日の多くの淡水化システムで使用される平均的な高圧逆浸透膜システムよりも、かなり消費電力が低くなるという。
このナノ薄膜とUHCPV技術を組み合わせると、淡水化処理のコストが非常に低くなり、IBMのブログ「Smarter Planet」によると、将来的には、「農業用水の生産がコスト的に実現可能」になるかもしれないという。
ナノ薄膜淡水化技術とUHCPV技術を開発したのは、ニューヨーク州とカリフォルニア州にあるIBM Researchと、サウジアラビアのリヤドにあるKACST/IBM Nanotechnology Center of Excellenceの科学者らである。
世界で最も多くの淡水を生産していると主張するサウジアラビアでは、KACSTが、既にいくつかの淡水化プロジェクトを進めている。その目的は、単に飲用水源を提供することだけではなく、浄水技術に関する海外に輸出可能な事業を築き上げることである。
KACSTのバイスプレジデントを務めるTurki Al Saud氏は声明で、「国内に企業集団を築き上げ、この技術や市場を世界中に発信したい」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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