iPad発売で関連銘柄に注目集まる--ただし人気はハードウェアからコンテンツへ

 Appleがついに米国でiPadを発売した。この発売を受ける形で、米国時間4月3日以降、株式市場でもiPad関連銘柄が人気を集めている。ただ物色の傾向には、かつてのiPodやiPhone発売の頃から変化が出てきているようだ。

 アップルのiPodが大ヒットした際、イヤホンのフォスター電機やフラッシュメモリの東芝、コネクタのヒロセ電機など、株式市場でも関連銘柄の発掘が行われた。アップルは採用メーカーを原則非公開としている。そのため、フォスター電機のように半ば公となっている企業もあったが、思惑先行で株価が急騰するケースも続出した。

 iPod touch、iPhoneの登場により、関連銘柄物色はタッチパネル関連銘柄に移行。コネクタのSMKや機能性フィルムのきもと、日本写真印刷などが人気を集めた。Windows 7の発売もあってワコムなど、タッチパネル関連銘柄物色は株式市場でも大いに注目を集めた。

 今回アップルが発売したiPadもタッチパネル関連銘柄物色の刺激となった。といっても、米国での発売を受けた4月5日の株式市場で物色されたのは、張り合わせ技術を持つオリジン電気ぐらいで、そのほかのタッチパネル関連銘柄にはほとんど動きがなかった。同日に人気を集めたのは、コンテンツ関連。株式市場は、iPadの人気化で盛り上がるのは関連部品を手掛ける企業ではなく、電子書籍を中心とするコンテンツ市場とみているようだ。

 モバイル端末組み込みソフトNetFrontなどを手掛けるACCESSは4月2日、iPhone向け雑誌閲覧用ソフト「NetFront Magazine Viewer」を開発し、国内外出版社向けに雑誌コンテンツ電子化サービスの提供を開始すると発表した。出版プラットフォーム事業を拡充する目的で、iPad向けにもすでに対応しているという。同ソフトウェアを用いてサンプルアプリも制作し、4月3日よりApp Storeで提供している。4月5日はiPad発売に合わせた好材料の提供を好感し、株価は急騰。1月22日以来の16万円台回復となる場面があった。

 このほか、iPhone関連ビジネスに積極的に取り組んできた日本初のXML専門ソフト開発会社であるインフォテリアも急騰。音声認識技術のアドバンスト・メディアも活況展開となった。このほか、具体的にアップル端末向けビジネスを展開していない企業にも物色の矛先が向いた。iPadの登場で市場が活発化するとみられる電子書籍関連としてインフォコムやフォーサイド・ドット・コム、電子コミックビューアのセルシスなども人気を集めた。

 iPad関連銘柄物色という意味では肩透かしとなったが、先を読む性質のある株式市場はiPadによる電子書籍市場の拡大を期待する展開となってきたようだ。一部の市場関係者は、iPadの類似品増加を前提にタッチパネル関連銘柄にも再度、物色のチャンスがあると期待しているようだ。

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