HTMLなど、ウェブに関連する標準の開発を監督するWorld Wide Web Consortium(W3C)が、新しいリーダーを迎えた。標準化に向けたW3Cの取り組みのスリム化を図り、外部のプログラマーとの関係を強化する意向だ。
Jeff Jaffe氏は米国時間3月8日、W3Cの新最高経営責任者(CEO)に指名された。Jaffe氏は、1月末まで、Novellの最高技術責任者(CTO)の任にあった人物で、IBMおよびLucent Technologiesのベル研究所で幹部を務めた経歴もある。同氏はCEOとして、W3CのディレクターであるTim Berners-Lee氏と協力していく。Berners-Lee氏は、20年以上前に初めてウェブのアイデアを提案した人物だ。
「Berners-Lee氏は、さまざまな状況や問題に対処するには多様なプロセスが必要だという考えを強く支持している。現在W3Cには、誰の意見をも取り入れる非常に強固でオープンなプロセスがある。だがときには、注目を浴びている最新技術で、迅速に答えを得るためにもっと早道を必要とする場合がある。多様なメカニズムが必要だ。この点が焦点になるだろう。高度に確立されたアプローチだけでなく、簡素化されたアプローチも用意していきたい」とJaffe氏は米CNET Newsとの電話インタビューで語った。
Jaffe氏は、資金調達や情報伝達、W3Cの利害関係者とのやりとりなど、総勢65人の組織の日常業務に取り組む。一方、Berners-Lee氏は、技術上の問題によりいっそう力を注ぐ。
CEOの地位は、Steve Bratt氏が、World Wide Web FoundationのCEOになるためにW3Cを去った2009年6月30日以降、空白になっていた。
W3Cにおけるより迅速な標準開発のための機構は、「XG」と呼ばれるインキュベーターグループだとJaffe氏は述べている。
「XGのインキュベーターグループとしての存在理由の1つに、開発者コミュニティーへの働きかけの強化が優先事項になっているという事実がある。総じて、わたしが注力すべきなのは組織内よりも組織外だと言えよう」とJaffe氏は言う。W3Cの作業グループには、部外の人々が約1500人参加しているとJaffe氏は指摘した。
W3Cは、1999年にリリースされた最新バージョン「HTML 4.1」を監督するなかで問題に直面した。W3Cの標準化グループは、「XHTML」という方向を追求していたのだが、ブラウザ開発者たちは、Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)というグループを中心に独自の道へと向かった。その取り組みは、現在「HTML 5」と呼ばれるものを生み出し、関連するさまざまな新しいHTML技術を生みつつある。W3Cは、異例の2団体による合同作業でこの技術の標準化を進めている。
W3Cが標準に取り組める新分野は数多くあると、Jaffe氏は述べる。クラウドコンピューティング、Webサービス、リッチインターネットアプリケーション、政府用アプリケーションならびに医療用アプリケーションなどだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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