では、全てのPRや広告がiPhone上で展開されるようになるのか。ここには少し難しいPRや広告の設計が必要になってくる。もちろん、ちょっと宣伝広告費を使って面白いモノを作ろう、というアイディアも悪くはない。
例えばあるブランドや商品のPR向けに単発のiPhoneアプリを作り、ヒットしたとする。しかしこれだけでは、ブランドが向上したり、商品が売れるようはならない。そもそも狙っている消費者やその行動を考え、アプリ以外のPRや商品そのものを含めた、デジタル・アナログ入り交じったトータルなデザインをし、その中にiPhoneアプリを組み込まなければ、最大限の効果を発揮することができない。
ここ最近はAPPLIYA STUDIOのように、画像やコンテンツを選ぶだけで簡単にアプリをリリースできる環境も整ってきた。しかし凝ったことをしようと開発費をかける場合は、アプリだけが面白ければ話題になる、と言うフェイズはすでに過ぎてしまっていると考えても良さそうだ。
しかし凝った開発費に見合う効果を発揮する方法もある。グローバル展開である。日本では200万台を超えてきたiPhoneの台数だが、世界では3000万台以上のiPhoneが、世代の偏りも少なく普及していて、App Storeを通じて比較的コストをかけずに流通ができる。
世界的に認知されているブランドが、グローバルなPR戦略を実現するには格好の場であり、前に挙げたナイキに加えてユニクロやラグジュアリーなファッションブランド、海外自動車メーカーは、積極的に取り組んでいる領域だ。
もちろんiPhoneで面白いブランドアプリが登場することは望んでいるが、iPhoneだけでなく、トータルなPR戦略を立てた上で、iPhoneアプリを活用する選択肢を選ぶことが望ましい。裏を返せば、iPhoneは、PRの常識を少しずつ変えようとしている、と見ることもできるのだ。
慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンビジネス専門メディアAppetizer Japan編集長。
TBSのラジオ番組「J-sky」でCLAMPとともにパーソナリティーを務める傍ら、広告代理店でイベントディレクターとして「DHC」、「TOYOTA」「コカ・コーラ」など、数々のイベントを手がけ、現在はiPhone事業に従事。iPhoneのスペシャリストで、アプリチェック数は8万を越える。
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