JavaScriptのベンチマーク「SunSpider」のテストでは、JaegerMonkeyが非常に速いことが示されている。Anderson氏が行ったテストでは、Nitroを注入した結果、最適化作業がまだ行われていない段階で、32ビットのx86システムで30%のスピードアップ、64ビットのx86システムで45%のスピードアップが見られたという。
とはいえ、JaegerMonkeyはまだ、メインストリーム向けベータテストを行うまでにも数段階のステップを経なければならない。ソースコードはダウンロード可能だが、まだMozillaのFirefoxプロトタイプのナイトリービルド「Minefield」には組み込まれていない。
Mozillaの大きな変更の1つである、MicrosoftのDirect2D技術をサポートすることによるテキストとグラフィックのアクセラレーションは、このナイトリービルドに組み込まれている。これは、まだ公式ベータ版には入っていないが、はるかに負荷の高い現実環境のテストを受けることを意味している。
Direct2Dとそれに関連する「DirectWrite」インターフェースは、「Windows Vista」と「Windows 7」で多くのディスプレイタスクを処理する際に、コンピュータのGPUを利用するものだ。変更点の1つは、タイプフェースのアンチエイリアス処理、つまりフォントの文字をピクセル描画する際に輪郭のジャギーを取り除くために曲線を滑らかにする処理が、以前の技術では1方向のみであったのに対して、2方向に適用されるようになったことだ。
MozillaのAsa Dotzler氏は、27日のブログ記事の中で、自身の成果について「DirectWriteを有効にすると、フォントがとてもきれいに見える。実にきれいだ」と言い表している。
現在開発中の「Internet Explorer 9」についてはあまり多くのことが知られていないが、Direct2Dのサポートが特長の1つになることは確かだろう。2009年にMicrosoftが行ったIE 9のデモで、同ブラウザのプロトタイプは、オンライン地図で表示範囲を移動するなどのいくつかのグラフィック処理において劇的な速度向上を見せた。
Mozillaの野望は、Direct2Dサポート合戦でMicrosoftの機先を制することだが、この技術の変化は重大だ。
「『Stylish』や『AdBlock Plus』といった一部のアドオンが、新しい機能を壊してしまうかもしれない」とDotzler氏は注意を促している。そのため、Direct2Dはデフォルトでは有効になっていない。Dotzler氏は、ぜひ試してみたいというユーザー向けに設定手順を記している。
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