日本のGmailチームのメンバーで一番詳しいのは高林哲さんですよね。それからダリック・トン(Darick Tong)。彼も非常に深く関わっていましたね。その2人を中心に、あとはダレン・ルイス(Darren Lewis)。今Gmailを見ると絵文字を入力するためのピッキング・パレットがありますが、彼はそのユーザーインターフェースを作り上げたエンジニアです。他にもGmailモバイルや絵文字プロジェクトのプロダクト・マネジャーだった岸本豪さんのインプットも非常に大きいですよね。絵文字の文字名とか、どの携帯会社の絵文字がどれに対応しているのか、そういう1つ1つの文字やイメージについての意見というのは、日本側からどんどん出てきたことです。
その見方はちょっと違うと思います。日本のGoogleといいますが、先ほど話したように日本のGmailチームは日本人だけではありません。それにエンジニアの観点から見ると日本とか米国とか、そういうふうには分けていないと思いますよ。
Googleにはたくさんコア・プロジェクトがあります。日本のチームは優秀なので、そういう人達がいろいろな貢献をしているのは確かです。ですからエンジニアたちは、日本向けのプロジェクトだけをやっているという感覚はないと思います。ある目的があって、その目的に対して国籍に関わらずいろんな人が協力したという見方の方が、より現実的に近いですね。
つまり、米国でやっていても、英国だとか他の国でやっていても、絵文字に興味があるということになれば、日本でもどこの仕事でもやるでしょう。さっき話したダリック・トンとかダレン・ルイスがそうですよね。
日本の携帯会社とメールに関してビジネスをするとき、絵文字をサポートしないわけにいきません。遅かれ早かれ、それがどんなに難しくても絵文字はやらなきゃいけない。それはたぶん、Appleさんがその後、重々経験したことだと思うんですけど(笑)。
ある技術的なチャレンジがあって、それに対してこうすれば一番ニーズにあったシステムが出来上がる、そのためにはマッピングテーブルが必要、絵文字もハンドルしなきゃならない。エンジニアにとって、絵文字というのはそういう位置づけでしょう。すべての大きなシステム、携帯メールをどのように扱うかという中の一部にすぎないと思うんですね。
(後編はこちらから)
1959年生まれ、和光大学人文学部中退。
2000年よりJIS X 0213の規格制定とその影響を描いた『文字の海、ビットの舟』を「INTERNET Watch」(インプレス)にて連載、文字とコンピュータのフリーライターとして活動をはじめる。Twitter IDは@ogwata。ブログ「もじのなまえ」も更新中。
主要な著書:
『活字印刷の文化史』(共著、勉誠出版、2009年)
『論集 文字―新常用漢字を問う―』(共著、勉誠出版、2009年)
主要な発表:
2007年『UCSにおける甲骨文字収録の意義と問題点』(東洋学へのコンピュータ利用第18回研究セミナー)
2008年『「正字」における束縛の諸相』(キャラクター・身体・コミュニティ―第2回人文情報学シンポジウム)
2009年『大日本印刷における表外漢字の変遷』(第2回ワークショップ: 文字 ―文字の規範―)。
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