株式市場で、「モバゲータウン」のディー・エヌ・エー(DeNA)と「mixi」のミクシィの評価が明暗を分けている。
DeNAは内製ソーシャルゲームのアイテム課金売上高が躍進した。2010年3月期第3四半期累計の業績は連結売上高290億3100万円(前年同期比7.1%増)、経常利益116億5600万円(同1.8%減)と平凡な数字。しかし、2009年10〜12月の直近3カ月に限って見れば、売上高は同24.0%増、営業利益は31.8%増と高い伸び率となっている。直近四半期(2009年7〜9月)と比較すれば変化率はさらに大きくなる。
アバター販売が減少傾向を続ける中、ソーシャルゲームの本格展開を始めたことでゲーム売上高が前年同期比20倍に飛躍。ソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」などの人気化によって業績面だけでなく、会員数、ページビュー数も大幅な伸びを記録している。
アバター売上高の停滞によって株式市場の評価も低下していたDeNAだが、それを覆して余りある好決算となった。株価も決算発表を受けて急騰。日経平均株価が軟調に推移する中でも昨年来の高値水準に買い進まれた。
一方、2月5日の取引終了後に決算を発表したミクシィは多くの市場関係者に失望された。2010年3月期第3四半期決算と合わせて通期業績計画の下方修正を発表している。
連結売上高130億円(前期比7.8%増)は据え置いたものの、営業利益は従来予想32億円から26億円(前期比31.1%減)へ、経常利益は同32億円から25億5000万円(同32.7%減)へ減額した。年初に新聞報道で2009年10〜12月の業績が前年同期比減益となる見通しだと報じられていただけに、市場では今回の決算がその数値をなぞる内容であれば、悪材料が出尽くして株価は上昇するのでは、との期待があった。しかし実際発表した数値は観測報道の数値を下回るものであり、悪材料出尽くし感どころか大きなネガティブサプライズを招いてしまった。
2009年8月から開始した「mixiアプリ」が想定以上のスタートとなっている。ページビュー数も想定を上回って推移しているが、アプリ提供者にページビュー当たりで分配するアドプログラム費が当初計画以上に発生しており、収益を圧迫した。いわば新事業が好調なゆえの下方修正だが、株式市場はコスト管理体制や収益体質の先行きを懸念している。
下方修正を受けてシティグループ証券では「来上期も同様の展開が想定され、利益回復は来下期以降となる見込み」と指摘。三菱UFJ証券も「アドプログラム費用は来期以降も継続的に発生する可能性がある」とコメントしている。下方修正を受けた2月9日の株価は大幅安となった。
快走を続けていたグリーのページビュー数失速が話題となっているほか、ミクシィとDeNAも決算で明暗が分かれるなど、ソーシャルネットワーキングサービス運営会社の株式市場における序列にも変化が出始めている。今後は2011年3月期も業績拡大が期待できるDeNAが再び主役となる可能性が高まっていきそうだ。
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