電子書籍端末はヒット商品になっている。事実、調査会社のNPD Groupが実施した調査では、対象となった所有者の93%が電子書籍端末に「満足した」と回答している。同社によると、不満だと回答した購入者はわずか2%だったという。
この結果を見ると、4000年近く続いてきた情報伝達システムである書籍は、電子書籍という新技術によってさらに進化しつつあるようだ。またこの結果は、紙媒体の書籍を扱う出版社は、さらに警戒感を高める必要があるということも意味している。
取材に応えたNPD Groupの分析担当エグゼクティブディレクター、Ross Rubin氏によると、大半の調査対象者は、電子書籍端末分野でトップを争うAmazonの「Kindle」とソニーの「Reader」のいずれかを所有していたという。また、調査データによれば、こうした端末の所有者は機能のシンプル化ではなく、多機能化を強く求めているようだ。
NPD Groupによれば、所有者の60%は、無線アクセスがお気に入りの機能だと回答し、23%はタッチスクリーンに最も満足したという。調査対象者の多くは、写真や画像のカラー表示、もっと輝度の高い画面など、より一層の改良を求めていると、Rubin氏は述べている。
紙媒体の書籍のほうが電子書籍よりも優れていると強硬に主張し続ける(しかしその根拠ははっきりしない)、困った人物が知り合いにいるのはおそらく筆者だけではないはずだ。筆者の知人で、ハイテクが大嫌いなある女性は、目に優しく、持ち運びも楽で、ギラギラとまぶしい日差しの下でも読むことができるので、紙の書籍のほうが好きだと最近も語っていた。この女性によれば、紙の本なら紛失しても金銭的に大きな痛手にはならず、「わたしには紙の本が一番しっくりくる」のだという。
それはそれで結構なことだが、電子書籍をもっと快適に見ることも可能ではないだろうか? 筆者はこの女性に、AmazonのKindleやソニーのReaderといった、調査対象者の大半が所有する端末では、画面に電子ペーパー技術が採用されていることを教えた。たいていのコンピュータ画面はバックライトで照らされており、長時間見続けるのが大変なだけでなく、明るい光の下で画面を見るのもつらい。
だが、電子ペーパーの場合は、本質的には「インク」と「紙」に相当する白と黒の粒子を詰め込んだ小さなカプセルを操作する仕組みなので、紙の本を読むのと同じくらい目に優しく、海辺で読書をするときも楽に文字が読める。だから、その点は問題ない。
サイズについて言えば、筆者はAmazon Kindleの書籍が読めるアプリを搭載した「iPhone」に、8点の電子書籍をダウンロードしている。また、端末版のKindle(初代モデル)なら、200点を超える電子書籍のダウンロード保存が可能で、重量は10オンス強(約280g)と、ペーパーバック1冊とほぼ同じだ。
米国時間1月27日に発表されたAppleの「iPad」は、Kindleキラーと位置づけられる製品だ。iPadは、大型画面(ただしバックライト方式)を持ち、ウェブにも接続が可能で、映画や音楽、ゲームが楽しめる。だが、Rubin氏によると、調査対象となった電子書籍端末所有者の大半は、こうした端末を読書以外の用途にはあまり利用していないとのことだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス