Mozillaは携帯電話向けの最初の「Firefox」ブラウザをリリースするという目標に向かって、ゆっくりとではあるが、着実に前進してきた。米国時間1月29日、以前は「Fennec」というコードネームで呼ばれていたNokiaの「Maemo」向け「Firefox 1.0」が公開された。
「Maemo 5」プラットフォーム向けのFirefoxには、「Opera Mobile」や「Opera Mini」といったほかのモバイルブラウザにはない、いくつか興味深い特徴がある。Mozillaは、同団体の飛躍の原動力となったサードパーティー製のカスタマイズ可能な拡張機能を利用することで、モバイル市場におけるFirefoxのシェア拡大を狙っている。結局のところ、Firefoxがデスクトップ分野でInternet Explorer(IE)の代替ブラウザとして一番になることができたのは、アドオンのおかげだった。Firefoxのモバイルブラウザにとってアドオンがいかに重要かを強調するため、Mozillaは29日、ブックマークや履歴を同期する拡張機能の「Weave Sync 1.0」を公開した。
Mozillaが今回発表したモバイル版Firefoxは、一長一短である。そして、それはMaemoが比較的知名度の低いプラットフォームだからという理由だけではない。NokiaのLinuxベースのオープンソースOSであるMaemoは、インターネットタブレット「N810」と「N900」との2つのデバイスでしかモバイル版Firefoxをサポートしていない。さらに、Mozillaが27日に3番目のリリース候補版を発表した際、土壇場になって同ビルドでAdobeのFlashプラグインをサポートすることを全面的に中止したと明らかにした。これによって、モバイル版Firefoxの制約はさらに多くなった。MozillaはFlashサポート中止の理由として、全体的な品質水準に対する不満を挙げた。余談になるが、これはAdobeにとって耳の痛い問題のようだ。MozillaがFlashサイトへアクセスした際のパフォーマンス低下についてコメントしたのとほぼ同じ頃、Adobeは、Appleが同社の新しい「iPad」デバイスでFlashをサポートしなかったことに不満を表明した。
とはいえ、ユーザーが動画を視聴したり、Flashをふんだんに使ったウェブサイトを満足に閲覧したりできないのだとしたら、Firefoxはどのようなモバイルブラウザになるのだろうか。誰も重要視しないようなブラウザになるかもしれない。Mozillaは次善策として、「YouTube Enabler」と呼ばれるアドオンを公開しており、これをインストールしてYouTube動画を視聴することができるようにしている。オプションでFlashプラグインをインストールすることには慎重だが一部のFlashベースコンテンツは閲覧したいというユーザーを対象に、Mozillaは、それ以外のソリューションも開発したい考えだ。
Mozillaにとって幸運なのは、モバイル版Firefoxをサポートする2種類のデバイスを実際に所有している携帯電話ユーザーは、比較的少ないということだ。従って、Mozillaには、Firefoxが別のモバイルプラットフォーム上で成熟する前に、さまざまな問題を解決する時間的余裕がある。Maemoの次は「Windows Mobile」に対応し、「Android」がそれに続く予定だ。Maemo向けFirefox 1.0はここからダウンロードできる。同ブラウザについてさらに詳しく知りたい人は、Mozillaのブログ投稿を参照してほしい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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