「テニミュ」の生みの親、ドワンゴへ--“ニコニコミュージカル”が年内開幕 - (page 2)

永井美智子(編集部)2010年01月29日 17時39分

 片岡氏はテニミュをプロデュースする以前、HUNTER×HUNTERのミュージカル化も手がけていた。ただ、原作の連載が滞りがちになるなど「続けられない事情が発生して」、ミュージカル「HUNTER×HUNTER」は休止となった。

 「事業としてやる以上、長く続けるためにはストーリーの先が見えていたほうが作りやすい。(原作の)先行きが見えないと作りづらくなる。事業として安定させる必要があり、舞台として完璧なものを作るためには、一度お休みをして別のものをやったほうがいいのではと考えた」

 そこで注目したのがテニスの王子様だった。ミュージカル「HUNTER×HUNTER」を再開することも視野に入れ、ファンタジーもののHUNTER×HUNTERとは別路線のスポーツものであること、多くの登場人物の性格が明確に描き分けられているものとして、白羽の矢を立てた。

 ジャンプで連載されている漫画が、舞台に向いていることはわかっていた。「1991年の夏に、SMAP主演で聖闘士星矢のミュージカル化をしたとき、彼らが原作のキャラクターぴったりに見えて、自分の中で『これだ』と思った」。同時に、そのとき人気のあるもの、広く知られているものを二次、三次と利用することがエンターテインメントビジネスの原則であると感じたという。

 原作の魅力を生かすことを重視し、俳優は演技力よりも、原作のキャラクターにいかに似ているかという観点で選んだ。「そのキャラクターをいかに表現できるかというのが基準だった。演技の技術の高さで選ぶと、セリフの言い方が全部同じになってしまい、結果的に魂のないものになってしまう。テニミュの俳優たちには『技術の前に漫画をとことん読み、アニメをとことん見て、自分が演じるキャラクターがどういうヤツかを理解しろ。俺はこいつだ、と思いこんでくれ』と言い、稽古場にも常に漫画全巻をそろえていた」

 こういった取り組みが結果的に、原作のファンだけでなく、若い新人の男性俳優に注目する女性たちを観客として引き込むことにつながったという。

 ニコニコ動画ではテニミュでの経験を生かしつつ、より広い層に受け入れられるようなミュージカルを作りたいと片岡氏は言う。ドワンゴにとっては新規事業になることから、社外の専門家と組みながら舞台を作り上げたい考えだ。

 公演時期は、年末を目標にしている。「早ければ早いほど良いと思うので、9月前にはジャブになるようなものを1つやり、本公演は12月にできれば」と片岡氏は話している。

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