あきない総合研究所(あきない総研)は1月14日、大和SMBCキャピタルやエンゼルキャピタル、ミネルヴァ・ホールディングスらとともに、スタートアップ期のITベンチャーを対象とした投資ファンド「スタートアップ支援ファンドkatana-1号」(katanaファンド)を設立したと発表した。
katanaファンドは、法人設立3年未満かつ、時価総額5000万円未満のIT企業、もしくは業務にITを活用する企業を対象にした投資ファンド。ファンド規模は2億円で、存続期間は10年間。大和SMBCキャピタルを中心に、あきない総研やエンゼルキャピタル、ミネルヴァ・ホールディングス、オプト取締役会長CSOの海老根智仁氏、トライステージ代表取締役の妹尾勲氏らが出資する。
同ファンドでは小口分散投資を行う。1社あたりの出資金額を初回100万円に設定し、その後は設定した目標を達成するごとに、最大500万円までの追加出資をするとしている。
あきない総研では、2009年11月に、ベンチャー支援制度「katana」を発表している。同制度では、起業間もないベンチャーに対して「ヒト」「モノ」「カネ」のうち「モノ」の支援をしているが、katanaファンドの提供により、「カネ」についても支援体制が整うことになる。
あきない総研代表取締役の吉田雅紀氏は、2000年に大阪市と組んで企業支援や経営コンサルタントを行う大阪産業創造館・経営相談室「あきない・えーど」を立ち上げたほか、2003年からは経済産業省とともに起業家支援イベント「起ちあがれニッポン DREAM GATE」を企画・運営するなど、10年にわたり起業家を支援してきた人物。
吉田氏はkatanaファンドが起業間もない会社に投資するため、そのリスクと、イクジット時の利益の大きさから「企画段階では、言葉は悪いが『万馬券ファンド』と言っていた」とコメント。今後の目標について、「まずは1年程度で35〜40社に出資していきたい。また毎年この規模のファンドを作っていければと考えている」と語る。
さらに将来像について、「スタートアップ企業に限定した投資ファンドのデファクトになるよう育てたい。それによってスタートアップの企業を応援する土俵ができ、日本の国をも変えていける。ほかのベンチャーキャピタルからも同様のファンドが出ることが理想」と期待を寄せる。
投資対象となる企業は起業間もなく、実績で評価できないケースが想定されるが、吉田氏は「起業家を重視して出資していきたい」と語る。「まわりに支援してもらうためにも愛嬌(あいきょう)も大事。それに弱みなどを素直に話せることも必要。その次に何を実現したいか聞きたい」と説明。「明るくて素直で(壮大なビジネスプランなど)妄想を抱いている人は是非ご紹介いただきたい」とも語った。
投資対象の企業については、出資者らに加えて、あきない総研の運営するコンサルタントネットワーク「L2L」を通じて、全国規模で発掘していく予定だ。
大和SMBCキャピタル代表取締役副社長の勝川恒平氏は、ファンドへ出資した経緯について、「こういうファンドは難しいという話があったが、実際この時期の出資は難しかった。しかし我が社の若い人が情熱を持って走り回ったのが、最大の結果を生んだ」とした上で「ファンドだからリターンを求める。しかしそれだけでなく、このファンドの出資を受けている企業が、世間から一目置かれるようなものにしていければ」と語った。
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