情報通信研究機構(NICT)は1月14日、多言語コラボレーション支援ツール「言語グリッドツールボックス」(ツールボックス)をオープンソースソフトウェア(OSS)として公開することを発表した。京都大学大学院情報学研究科との研究グループによる成果。
ツールボックスは、コンテンツ管理システム(CMS)に多言語モジュールを追加した多言語コラボレーション支援ツール。テキスト翻訳や掲示板、辞書作成、ウェブページ作成といった多言語支援機能を利用できる。これらの機能を組み合わせて利用現場に応じた多言語コラボレーション環境の実現が容易になるという。ツールボックスには、CMSとして「XOOPS」を採用している。
NICTが開発したツールボックスの基盤上に、ユーザー各自が開発した多言語モジュールを追加してカスタマイズできる。これまでのCMSは、多言語コンテンツの管理や表示が可能だったが、ネット上の多言語サービスを組み合わせてコンテンツを多言語化する機能の拡張は、今回のツールボックスが初めてという。
NICTは、言語を越えたコラボレーションを支援するための多言語サービス基盤「言語グリッド」を構築。言語グリッドに登録された多言語サービスを自由に組み合わせて、ツールボックスの多言語モジュールで利用できる。
たとえば日英翻訳だと「Google翻訳」や「WEB-Transfer」、「J-Server」、「Translation」、「訳してねっと」の5種類から選択できる。複数の翻訳サービスや辞書サービスを組み合わせても利用できる。
今回は、ツールボックスの基盤に加えて、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の助成を受けて開発された多言語掲示板、多言語ウェブページ作成、多言語辞書作成、多言語テキスト翻訳の4つのモジュールも公開される。NICTは、ツールボックスの普及を促進して、国際交流、多文化共生の活動を支援するために、ツールボックスのホスティングサービスも開始している。
言語グリッドは、ネット上の辞書や翻訳ソフトウェアなどの言語資産による多言語サービスを接続することで、ユーザーはサービスを自由に組み合わせることができる。だが、多言語サービスを利用して、ユーザーの要求にあった多言語コラボレーション支援ツールをユーザー自身が開発するには大きなコストがかかる。カスタマイズ可能な多言語コラボレーション支援ツールの提供が、言語グリッドのユーザーから求められていたことから、今回のOSS化に踏み切っている。
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