Oracleは米国時間12月14日、同社によるSun Microsystemsの買収について、欧州委員会に承認を促すための一連の措置を発表した。欧州委員会もこの措置を「意義のあるもの」だと評価している。
欧州の規制当局は9月、OracleによるSunの買収計画に対して調査に乗り出した。これは主に、Sunのデータベース「MySQL」の競争力が買収によって損なわれることを懸念してのものだ。ただし、米国の独占禁止法規制当局はすでにこの買収を承認している。
Oracleは欧州委員会の懸念を払拭する提案を、12月14日までに提出しなければならなかった。欧州委員会は2010年1月27日までに、この問題に関する最終判断を下すことになっている。
今回の提案で最も重要な点の1つは、MySQLの「Pluggable Storage Engine Architecture」APIについて、これをストレージエンジンに実装するサードパーティーのストレージベンダーに対するSunのポリシーを、Oracleが変更すると約束していることだ。
Sunは現在、そのようなベンダーに対し、オープンソースライセンスGNU General Public Licence(GPL)の下でストレージエンジンを公開することを求めているが、Oracleはこの要件を撤廃するとしている。
さらに、このAPIを実装するサードパーティーのストレージベンダーに商用ライセンスの取得を求めている点についても、この要件を撤廃するという。
そのほか、現在Sunと商用ライセンス契約を結んでいるストレージベンダーに関する公約では、現行の契約を同じ条件で5年間延長するとOracleは述べている。
また、MySQLの研究開発費についても、今後3年間はSunが直近の会計年度に投じた費用(2400万ドル、1500万ユーロ)を上回る額を投じるとしている。
その他の提案としては、MySQLのPluggable Storage Engine Architectureの維持および「強化」を継続すること、GPLライセンス版のMySQLを商用版の「MySQL Enterprise」と同時に更新すること、MySQLの顧客にOracleのサポートサービス購入を強制しないこと、顧客およびストレージエンジンベンダーのための諮問機関を設置することなどが盛り込まれた。
「これらの公約は全世界に適用され、買収完了の5年目まで継続される」と、Oracleは公約の概要を示した声明の中で述べている。
欧州連合(EU)はこの提案を歓迎する意向を表明し、特にMySQLのストレージAPIと、既存の商用ライセンスの延長に関する公約について、「意義のある新たな提案」と評価した。
「Oracleが本日発表した、顧客、開発者、およびMySQLユーザーに対する一連の公約は、現在進行中の事案において考慮されるべき新たな重大要素だ」と、欧州委員会は声明の中で述べている。
欧州委員会によれば、競争政策担当委員のNeelie Kroes氏は、この問題が「満足のいく結果」に終わることを「楽観視」しているという。
OracleによるSunの買収計画については、10月にMySQLの元最高経営責任者(CEO)であるMårten Mickos氏が早期承認をEUの規制当局に求め、これ以上の遅延はEUの保護しようとしている競争そのものを弱めることにつながると主張していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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