ScanSnapを使用する目的の一つとして、やはり書籍のPDF化があるだろう。書籍をPDF化すれば、本棚のスペースを増やさないで済むし、紙ではできない検索もできるようになる。さらにiPhoneに書籍のPDFを入れれば、重い本を持ち歩かなくてもどこででも本が読めるなど、利点が多く魅力的だ(ただし、あくまでも個人での使用に限る)。
書籍をスキャンする際、一番大変なのは、書籍の裁断だ。スキャンの簡単さに比べて、書籍を簡単に裁断するには、それなりに値の張る裁断機が必要になる。ちなみに筆者は、カール事務器のディスクカッター「DC-300」を使用している。1万円を切る手頃な価格と、裁断性能の良さが魅力だが、書籍を裁断するには、数回に分けて行う必要がある。
書籍や雑誌を裁断する際には、背のノリのついた部分や、ギザギザした部分は、完全にきれいに裁ち落としておく必要がある。そうしないと、スキャンした際に、複数枚が一緒に送られてしまったり、途中で引っかかってしまったりする原因となる。また、裁断した書籍や雑誌は、ページが完全に1枚1枚が離れているように、何度かパラパラとよくめくって、空気を含ませるようにしておく。
スキャンする際には、一度に大量に読み込まないようにする。S1300の場合は、紙の厚さにもよるが、一度に15〜20枚くらいまでが適当だった。また、何回かに分けてスキャンするので、「継続読み取り」をオンにしておく。たとえスキャンの途中で、紙が詰まっても、簡単に取り出せるシンプルな構造のため、続きからスキャンを再開するのもそれほど苦にならない。
229ページの新書を白黒モード、スーパーファイン画質でスキャンし、検索可能なPDFにしたところ、6.66Mバイトほどのサイズになった。試しにPDF内をいくつかのキーワードで検索してみたが、きちんと検索される。ただし、本の裁断、スキャン準備、スキャン、PDFへの変換作業までいれると、1冊の新書をPDF化するまでに40分前後の時間を要した。
iPhoneで、このPDFを読むには、メールに添付して自分宛に送るという方法もあるが、GoodReaderなどの大きなPDFファイルが読みやすい有料アプリを使用するのも良いだろう。
ScanSnapのスキャン性能自体は、かなり完成されており、今までの機種でも十分なのだが、S1300の魅力はなんといってもそのコンパクトさと価格だろう。Windows、Macintoshの両方で使える上、PFUダイレクトの価格で、2万7800円という価格は、上位モデルの「ScanSnap S1500」が4万9800円と5万円近い価格であることを見ると、今まで購入をためらっていた層にも訴求力が高いのではないか。もう少し気軽にドキュメントスキャナを使いたい、という個人のニーズにぴったりだろう。
S1300にはAdobe Acrobatは同梱されていないが、ScanSnap Organizerなどの付属ソフトウェアの機能もかなり充実しているので、個人ユースでは問題ない。また、ScanSnap Managerのヘルプがとても充実しており、分かりやすく書かれているので、分からないことがあったとき「まずはヘルプを見てみよう」という気になる点も、初めてドキュメントスキャナを使うユーザーには重要なところだ。
S1300を持ち歩かなくても、このコンパクトな長方形のスキャナは、見た目もすっきりしていて、デスクに常時置いてあっても違和感がない。実のところ、筆者はS510という何世代か前の機種を愛用しているのだが、今回試用してみて、買い換えを真剣に考え始めたくらいだ。S1300は、ドキュメントスキャナの入門機として、自信を持ってお勧めできる。
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