サンフランシスコ発--Intelは米国時間12月2日、完全なプログラム制御が可能な48コアプロセッサのデモを行い、マルチコアの方向へさらに数歩踏み出した。同社ではこのプロセッサについて、人間を超える実行能力を持つ、強力なデータコンピュータの実現へ道を開くものだとしている。
13億個のトランジスタを集積した同プロセッサは「Single-chip Cloud Computer」(SCC)と呼ばれており、Intelのテラ規模研究プロジェクトが2007年に開発した80コアの「Polaris」プロセッサを引き継ぐ世代となる。第2世代であるSCCはPolarisと違い、「Pentium」や「Core」といったIntel製x86系チップ向けの標準的なソフトウェアを実行できる。
このチップのコア自体はそれほど高性能ではなく、Intelのフラッグシップモデルである「Nehalem」というよりはむしろローエンド向けの「Atom」に近いと、Intelの最高技術責任者(CTO)Justin Rattner氏は、サンフランシスコでのメディア向けイベントで説明した。しかしコアの集積により相当の性能を持たせることが可能で、Intelではこのプロジェクトにおいて野心的な最終目標を設定しているという。
「マシンが、人間とほぼ同じように周囲の世界を理解する能力を持つことになるだろう」とRattner氏は語った。「見ることや聞くこと、さらにおそらくは話すことも可能になり、ほかにも人間的な能力に近いことができるようになるはずだ。その結果、非常に(強力な)計算性能が必要になる」
Intelでは現在、ネットワークで結ばれた数千のサーバを要するような大規模コンピューティングに関する課題を抱える複数の企業と、協力を進めている。だが、コンピュータビジョン(機械に人間と同様の視覚を持たせること)という、今回提示されたSF的な取り組みと比べると、こうした課題でさえ現実的に見えてしまう。
SCC系のプロセッサにおけるIntelの発想について、Rattner氏は「機器でいっぱいのラックを、1基ないし複数のSCCのような多コアプロセッサで置き換えることは可能だろうか?」ということだと説明している。
SCCについて判明した問題点は今のところ1つだけで、これまでにSCCを搭載したシステム上でWindowsおよびLinuxを起動させたという。メディア向けのイベントで、同社はSCCを搭載したコンピュータのWindows上でMicrosoftの「Visual Studio」を起動させるといったデモを行った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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