マザーズ指数が14営業日続落--個人投資家の売りが売りを呼ぶ状況に

 小型株市場が壊滅的な状況に陥っている。ミクシィやグリー、サイバーエージェントなど日本を代表するインターネットサービス企業が多く上場する東証マザーズ市場のマザーズ指数は11月19日まで14営業日連続で下落。これはマザーズ指数が設定された2003年9月以降の最長記録。新興市場に何が起きているのか。

 マザーズ指数が連敗記録を更新する中、楽天などが上場するジャスダック市場の日経ジャスダック平均も同日まで11営業日続落、オンラインゲームのガンホーオンラインエンターテイメントなどが上場する大証ヘラクレスのヘラクレス指数は9営業日続落となった。

 新興市場崩壊の引き金となったのはファンドと見られる大口売り。10月下旬、グリーやミクシィなどのネット系企業が相次いで業績計画の上方修正を発表して新興市場の人気が高まりつつあった。ネット株は東証1部上場企業の株価が停滞する中で上昇し、主力株の多くが年初来の高値を更新していた。その流れが本格化し始めた11月初旬、それら主力株の上値を大口売りが抑えるようになった。

 業績は好調ながら株価が上昇しきれない状況に焦るように、指数の続落基調が始まり、これまでは買いの主体となってきた個人投資家の状況に変化が現れた。株価下落にともなって、信用取引などで新興市場上場銘柄を買っていた投資家が耐えきれなくなり、泣く泣く売り注文を出し始めた。これは「見切り売り」「投げ売り」と呼ばれるもので、業績動向などを無視した株価下落を招いてしまう。また、この投げ売りによる株価下落が投資家の損益状況をさらに悪化させ、次なる投げ売りを招き、株価下落が加速してしまう。いわゆる、売りが売りを呼ぶ状況に陥っていたのだ。

 ただ、株価はいつまでも下落し続けるものでもなく、マザーズ指数が440ポイント近辺から350ポイント台まで一気に下落したことで、下値を拾う動きも活発化。11月18日、19日と連日で朝方に売られても午後に値を戻すという展開を続けて下値を固め、3連休前の11月20日にはリバウンドを狙う買いが一気に流れ込んだ。マザーズ指数を筆頭に小型株の主要指数が急反発して一斉に歴史的な連敗記録から脱出した。

 注目は今後の展開だが、いまだ予断を許さない状況とみられている。11月上旬は新興市場だけでなく、東証1部市場も軟調に推移してきたが、この背景には年始に訪れるとされる景気の二番底への懸念がある。現在、2009年9月以降のリーマンショックに端を発した世界的な経済危機からは脱したようにみられており、企業業績にも立ち直りの兆しが強まっている。しかし、この景気回復基調は年始にも腰折れとなり、再度、景気の谷が訪れることが懸念されている。現在の株価下落はその景気の二番底を先回りしているのだ。

 東証マザーズ市場に多く上場するインターネットサービス企業は景気の動向に影響を受けにくい収益体質を持っており、業績面への懸念はそれほど高くない。しかし、売買の主体は個人投資家であり、彼らは株式市場全体の雰囲気、いわゆる投資マインドの影響を大きく受ける。全般相場が大きく崩れた時、真っ先に売られるのが新興市場上場銘柄と言われており、流動性の乏しさから値下がり率も大きくなる。今回はまさにその通りの展開となった。業績動向の分析も重要だが、当面は市場の雰囲気を注視しながら様子を見るというスタンスも重要となっていきそうだ。

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