Intelは、欧州委員会(EC)から科された独占禁止法違反の制裁措置に対する上訴において、欧州連合(EU)のオンブズマンによる調査結果を利用する構えだ。
Intelは現地時間11月18日、ZDNet UKに対し、ECより科された10億6000万ユーロ(9億5100万ポンド、14億5000万ドル)の制裁金をめぐる上訴の際、弁護材料の1つとして、ECが適切に会議の議事録を作成しなかったとする、EUオンブズマンによる調査結果を利用する可能性が高いと述べた。
Intelの広報担当者は「当社は上訴において、この件や、その他の問題を提起する予定だ」と述べた。
EUの各行政機関による不正な職務行為についての苦情の調査にあたるEUオンブズマンは18日付の声明で、ECは「Intelの調査に関連して行われたコンピュータメーカーDellとの会合の議事録を適切に作成しなかった」と記している。
オンブズマンは、ECが2006年8月23日にDellとの間で行った会合について、これがECによるIntelの調査を議題とするものだったにもかかわらず、ECは議事録を取らなかった点を指摘した。さらに、同会合の議題はまったく記録されなかったとしている。
オンブズマン機関における部門責任者の1人であるFergal O'Regan氏は18日、ZDNet UKに対し、オンブズマンの裁定に法的拘束力はなく、今後、同裁定が本訴訟に影響を及ぼすか否かについては、Intelの上訴を審議している欧州第一審裁判所が判断することになると述べた。
「裁判所は、必要に応じて今回の報告を自由に精査できる」とO'Regan氏は述べるとともに、ECが自身の管理慣行を見直すかどうかはEC自体の判断に委ねられていると付け加えた。
「われわれは、こうした会合において議論された問題を適切に記録することが、望ましい管理慣行だと考えている」(O'Regan氏)
オンブズマンは、ECが当該会合の議事録を作成しなかったことがIntelの抗弁権侵害につながるかどうかについては、一切の事実認定を行っていない。
これに対しECは、18日付で声明を発表し、その中でオンブズマンの見解に異を唱えるとともに、ECの取った手順には欧州の判例法の裏付けがあると主張した。
ECの声明には次のように記されている。「ECは、公式に合意された議事録が(中略)作成されるべきだったというオンブズマンの見解に同意しない。ECは、2006年8月の会合に関するわれわれの慣行が、完全に第一審裁の判例法に沿っていることを指摘するものである」
Intelはまた、ECがDellに対してAdvanced Micro Devices(AMD)と情報を共有する協定を結ぶよう働きかけ、これによりECの調査ファイルに記載されたIntelに関する機密情報がAMDに流れたとして、オンブズマンに苦情を申し立てていた。オンブズマンはこちらの申し立てについては却下した。
上訴審の具体的な日程は未定だが、関係筋の話によると、欧州第一審裁において2010年末または2011年初めに行われる可能性が高いという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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