NECビッグローブは11月6日、マイファームと提携し、ネットを活用したレンタル農園「BIGLOBEファーム」を2010年2月から提供することを発表した。料金は1区画あたり7.5平方メートルで月額3980円から。すでに先行予約を開始している。
BIGLOBEファームは、マイファームのレンタル農園サービスとNECビッグローブのネットサービスを組み合わせて提供するもの。インストラクターによるアドバイスや、農具レンタルなどのサポートに加え、野菜の栽培に関する相談や育成状況の確認、ユーザー同士の情報交換がネットを通じて利用できる点が特徴だ。
BIGLOBEファームの現地では、インストラクターから種のまき方や苗の植え方など栽培方法について直接指導を受けられるほか、小型耕運機やくわなどの農機具も利用できる。ファーム管理人が水遣りや雑草処理などをサポートするため、頻繁に訪問できないユーザーでも農業を体験できる。
ネットを活用したサポートには、栽培に関する相談ができる「ネット農園相談室」がある。「トマトの実が大きくならないがどうしたらいいか?」「害虫を除去したい」などの相談に対し、対処方法が返ってくる。こうした相談の内容と履歴は蓄積され、ユーザー同士で共有される。
また、農園にはネットに接続されたカメラが設置されている。ユーザーは自宅のPCや携帯電話から野菜の育成状況を確認できる。カメラをズームすると野菜の虫食い状況もわかるという。カメラでスナップショットを撮影し、管理人に対応依頼することも可能だ。
農園利用者向けにソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「バーチャル農園コミュニティ iplant」も提供する。BIGLOBEサイト上で販売するID付きの種を購入すると、実際の野菜の育成状況に合わせて、バーチャル農園上で野菜を育てるゲームをプレイできる。大手SNSの「mixi」で提供されている農園ゲーム「サンシャイン牧場」のようなイメージだ。野菜育成に関する情報交換や、収穫した野菜の報告などにより、ユーザー間の交流も促進する。
NECビッグローブ代表取締役執行役員社長の飯塚久夫氏は、「iplantがmixiのゲームと違うのは、実際の野菜の成長と連動するところ。ネットとリアルの融合ができている」と語る。iplantはNEC社会起業塾出身のとれいすが運営している。
BIGLOBEファームの第1弾は2010年2月に埼玉県久喜市にオープンする。3000平方メートルの敷地に300区画を開設する予定だ。料金は1区画あたり7.5平方メートルで月額3980。インストラクターによる指導、農具レンタル、ネットを通じたサポートもこれに含まれている。
種はiplant用のID付きで315円。サービス開始当初はほうれん草、大根、ルッコラの3種類を用意する。種の持ち込みも可能だ。
矢野経済研究所の調査によれば、レンタル農園市場は急拡大しており、現在の市場規模は200万人、220億円とのこと。潜在的な市場規模は820万人、902億円にものぼるという。NECビッグローブはレンタル農園に、ネットを通じたサービスを積極的に組み合わせることでさらなる発展を目指す。
3年後に60農園をオープンし、延べ3万人に利用してもらうのが目標だ。企業の福利厚生、小学校、幼稚園の農育支援など、法人、自治体向けビジネスも視野に入れている。
2007年に設立されたマイファームはこれまでも独自にレンタル農園を提供してきた。同社は耕作放棄地を減らし、レンタル農園「マイファーム」として事業化することをミッションとしているという。NECビッグローブと提携することで、ブランド力、認知度向上、ネット活用によるサービスの利便性向上を見込む。
マイファームのユーザーは30代から40代が中心だという。「ニーズとして強いのは、子どもに農業を伝えたいということ。11月は収穫の季節なので、各地でカレーパーティーやコロッケパーティーなどが開かれた。いい夫婦の日には婚活パーティーもある」(マイファーム代表取締役の西辻一真氏)
マイファームは3カ年計画を立て、300農園の開設、延べ10万人の参加を目指している。このうち2〜3割の農園をネット対応させ、BIGLOBEファームとして共同展開する予定だ。5年後には「日本の食糧自給率を民の立場から1%上昇させる」(西辻氏)という大きな目標を持っている。
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