Googleのように広告モデルの動画配信ビジネスを展開する企業にとって、プレミアムコンテンツを有料配信する、大手ケーブルテレビのComcastやTime Warnerによるインターネット動画配信サービス「TV Everywhere」の動向は気がかりであろう。オンライン動画の視聴実績を計測するVisible MeasuresのCEO、Brian Shin氏は「動画の広告モデル配信市場が縮小すれば、当社のようなデータ計測ビジネスの将来性に影響がでる」と心配していた。
TV Everywhereは大手メディアにポジティブに受け入れられている。NBC Universalのデジタル部門バイス・プレジデントであるSab Kanaujia氏は、「TV Everywhereは、コンテンツ収入機会を守る仕組みだ。マスメディアはすでに死んでいる。広告と課金モデルをミックスしたサービスが映像ビジネスにとって最適だと思う」と語る。NBCは「2007年にソーシャルウェブイニシアティブというデジタル戦略を開始」(Kanaujia氏)し、積極的にオンライン動画配信を進める大手テレビ局だ。NBC Entertainment and Universal Media Studios のチェアマンであるMarc Graboff氏は、このカンファレンスの基調講演で、「オンライン配信とテレビには、視聴行動のカニバリズム(共食い)はない」と言い切っていた。
FOX、NBC、ABC が出資するインターネット動画配信サービス「Hulu」が課金モデルを始めるという話も会場で聞かれた。大手メディアやハリウッドの映画スタジオは、オンライン動画配信のビジネスモデルを無料広告モデルから有料課金モデルへ、舵を切る戦略のようだ。
こうした動きに対しFalck氏は、Googleは様々なアドフォーマットを展開しており、ビジネスモデルの変化に対応できると自信を見せていた。Googleは、「我々はプラットフォームの会社。コンテンツ制作には乗り出さない」(Yen氏)という姿勢が明確だ。今後、インターネットの動画配信を巡る課金モデルと広告モデルの競争は、コンテンツサプライヤーとプラットフォームを提供する事業者の双方の動向を注視する必要がありそうだ。
2009年のDigital Hollywod Fallは、前年に比べ少し元気がなかった。リーマンショック直後に開催された前年は、「この不況はビジネスチャンスだ」という元気な声を多く聞いた。しかし今回、「今後1年間で、御社や市場状況がどう変化すると予想しますか」と聞いても、「今と同じことをするだけ」とか「よくわからない」といったネガティブな言葉が返ってくる。米国の景気後退は底を打ったという報道を目にすることが多いが、実際話を聞いてみると、景気が上向いているという実感は得られなかった。
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