研究者らは、相変化メモリという技術の一般市場に向けた実用化に大きく近づいている。相変化メモリにより、将来のコンピュータの接続方法は変わることになるかもしれない。
Intelと、同社とSTMicroelectronicsのフラッシュメモリを専門とする合弁企業であるNumonyxは米国時間10月28日、新しい種類の相変化メモリチップを構築したと発表した。小型化と大容量化という同技術の利点を実現することができると両社は期待している。
64Mビットという容量自体は、新しいものではない。Numonyxは2006年に、128Mビットのデバイスを発表しており、サムスンは2009年9月、512Mビットのチップを製造中であると述べている。しかし今回重要なのは、長きにわたって練られてきた構想を実用化した2つの主要な技術進歩である。
1つめは、チップ内にワイヤグリッドを構成し、コンピュータが、6400万個のメモリセルの1つ1つに対する1または0の書き込みを容易に制御できるようにしたことである。2つめは、製造プロセスにおいて複数のレイヤを上下に積層可能とすることにより、同じ面積により高密度にメモリを集積できるようにしたことである。
コンピュータへの数値の保存は、かなり昔から実現されている。ではなぜ、特定の種類のガラスの分子状態を変化させることにより、1または0を記録する相変化メモリが、それほど大きな意味を持つのだろうか?
簡単に言うと、このメモリは、従来型のコンピュータメモリの高速性と、フラッシュメモリの低コスト、低消費電力、大容量という特長を併せ持つことができるかもしれないのだ。高速メモリを大量に搭載することができれば、コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアを簡素化できる可能性がある。現状では、性能と容量のトレードオフが存在するストレージ技術の階層に対処しなければならない。
今日のOSは、重要な情報を絶えずメモリに保存し続けなければならない。古い情報は、ハードドライブに格納された「仮想メモリ」か、最近では階層の中間層に位置する、フラッシュメモリで構成されたソリッドステートディスクへと退避する。何をどこに保存するかを決定する処理は複雑であり、優先度は瞬間ごとに変化する。
Intelのメモリ技術開発担当ディレクターであるAl Fazio氏は28日、この技術について、「Intelでは、将来的なメモリを可能にする上で、これを重要なマイルストーンだと考えている。メモリとストレージの要素を組み合わせ、こうした技術を1つのメモリタイプに落とし込めるかもしれない。この研究は、実現に向けて非常に有望だ」と語った。
相変化メモリはまた、現在のメモリ技術をさらに小型化する際の問題をうまく回避できるかもしれない。そのほかにも、電力消費を抑えることで、廃熱の削減やバッテリ寿命の延長につながる可能性もある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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